富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-08-26

陰暦七月初七。今年は閏五月あつた所為で七夕がこんなに遅い。例年より残暑厳しいのも一理あり。日本は天候不順で梨や玉蜀黍などやうやく初出荷とNHKのニュースが伝へる。香港では梨も玉蜀黍も疾うに出回つてゐたが「中国の梨」や「香港の玉蜀黍」なんて唐黍(もろこし)でも日本では「危なくて……」かしら。充分に美味しいのに。早晩にFCCで獨飲。ハイボール二杯。加賀の大学より香港政治研究されるK先生ご夫妻来港で研究者系の方多い食事会あり花園道の川菜・三希樓でZ嬢と末席を汚す。ゐろ/\笑話歓談尽きず。在外選挙で在外も小選挙区あるべき、香港ヴァーチャル選挙区でなら誰が立候補か?といふ話題になる(つてアタシが余興に題を供したのだが)。自民党は御大I氏。民主党は元商社マンのM氏、新党大地=北海道出身でK氏、幸福党は八月に北京に去られたがN部長、日本共産党は某大学M教授、みんなの党はK局長、公明党はアタシらが決める必要もなく、社民党は某誌S編輯長、日本新党は某大学N助教授……でやはり民主党でM氏当確か、と察す。もう一つの話題は日本政府によるマカオでのカジノ投資。マンネリ化したマカオカジノ業への起爆剤として元禄狸御殿か「千と千尋」の油屋旅館(紅や)のやうな賭場の建造。大浴場の温泉、芸者遊びから松葉屋のやうな花魁ショーまで絢爛豪華さが賣り。賭場も大小ぢやなくて背中の刺青も見事な鯔背な兄さんがディーラー役で丁半、バカラぢやなくて花札でオイチョカブ、それも四畳半くらゐの座敷間で座蒲団敷いて。中国の地方の末端党幹部らに野球拳とか、けつこうウケるのではないかしら。日本で金利下げても景気刺戟効果もないのだから日本政策金融公庫から国際協力銀行を通し数百億の資金をマカオへ。工業団地ならぬマカオ興業団地=コタイへの投資。ベネチア模してゴンドラ遊びとか此方のはうがずつとウケる気がするが。ケネディロード(といへばロバート=ケネディ氏逝去)まで下りフリーメーソン香港教会前よりミニバスで帰途につく。
▼北京から東京に戻られた畏友O氏から北京の路線バスの環境対策についてメールで教示いたゞく。北京だと路線バス二万台の三分の一が天然瓦斯(CNG)車、電気バス、トロリーバスの由。特にダブルデッカーは全車輛CNG車。香港でなぜそれが出来ないのかしら。CNGにすると充填するためにそれなりの設備が必要ださうだが。天然瓦斯使用のダブルデッカーぢや平坦な北京はOKでも香港の坂上りは出来ないとか?
▼英語など外語も難しいが日本語の外来語はもつと難しい。外語でも智識や経験、憶測でわからない言葉がわかる時もあるが外来語でカメラ用語で最近、オリンパスのペンEP-1の記事などでよく目にする「マイクロフォーサーズ」カメラのフォーサーズに該当する単語思ひつかず「まぁ、今のところこの外来語がわからなくても困らない」でゐたのだがチヨートク先生がブログで「マイクロ4/3」と書かれてゐて、あつ!フォーサーズつてFour Thirdsのこと?つて気づいた次第。そりや「四番サード長島」でサードがthirdはもはや日本語だとしてもthirdsを「サーズ」で「三分の四」を、フォーサーズはないだらう。thirdsとSARSが同じ「サーズ」なのも不思議だし「ハッピーバレーでバレーしてから尖沙咀でバレーを観る」もvalleyとvolleyとballetのヴァレイ、ヴォレイ、バレが全部「バレー」なのか……言ひ出したら切りがないが。カメラといへば最近、人気のトイカメラ。「カメラのドイ」と紛らはしいので(笑)玩具写真機と呼びたいが露西亜Lomoと並ぶ玩写のHolga Cameraである。ホルガは香港でよく売られてゐるがホルガが香港製とは今日まで知らず。SCMP紙が一面記事でホルガ流行を伝へるがHolgaは1970年代に香港のカメラ製造関連のUniversal Electronics社がフラッシュ製造をしてゐたがコニカから世界初のフラッシュ内蔵カメラ(ピツカリコニカ)が発売され発光関連商品では喰つていけぬ、と新製品開発で生まれたのがmade in 香港の当時のチープさ強調でのトイカメラ。で当初の製品名は広東語で「好光」Ho Kwongで「とても明るい」意だが、外国のバイヤーが「Holga」と呼んで、いつからかそれが定着し商品名になつた由。ぼち/\でんなぁ、の商売が続いてゐたがデジタルカメラの時代になつてトイカメラが突然のブレイクに製造元も驚いた、と。
▼信報で沈鑒治博士が孔在齊なる筆名で毎週水曜に連載の顧曲集なる京劇談はアタシも何度か日剰で触れたがつひに八十四回の連載でお終ゐ。沈鑒治博士の経歴についてはかつてこちらにまとめたが廿世紀の京劇で稀代絶世の回顧集。当然、まとめて出版されるのを俟つばかり。最終回の題が「藝術應珍惜 傳統莫偏離」と村上湛君に聯にして贈りたいやう。
▼米国で連邦航空局が今度は安全のため seatback pocketに飲料水のボトルやi Podなど個人携帯品を入れることを禁じたさうな(IHT紙“The pocket is handy, but don't use it”)。愚の骨頂とはまさにこれ。どうせなら「飛行機は安全ぢやない」と連邦航空局が指摘すればいかゞかしら。

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