富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-07-29

七月廿九日(水)酷暑續く。昼に天后の華姐清湯腩に腩河食すが午後荃灣に所用あり一瞬、山西刀削麺食さうか、と思つたが腹を毀しさうで自戒。荃灣で少し時間あり荃灣公共図書館。夏の図書館つて子どもの頃から好きだが、やはり公園の木々が見えてそよ風が抜けて、が夫れ。冷凍庫の如き室内は鳥渡。それにしても夏休みで勉強に余念なき学生諸君と新聞読みの老人の多いこと。参考図書閲覧室でご執務ちよつと済ませ時間があつたので持参の新聞読んだら職員が近づいてきて「こゝは参考図書の閲覧室なので参考図書の利用がないのなら新聞の閲覧は新聞閲覧室で」とアタシに注意。その内容に異議は無い。が無表情に静かな閲覧室で而も他の者によく聞こえる声で「これみよがし」に言ふ。閲覧室なんだからもう少し静かに注意すべき、と思はないのかしら。周囲を見渡すとあきらかに参考図書利用もせず読書や自習の者ばかり。新聞を読んだのが職員の癇に障つたらしい。参考図書の書架から辞書を持つてきて辞書を引く真似しつゝ持参の新聞を読んでこの職員の表情を見てやらうかしら。所用済ませ帰路ご一緒のS氏、H嬢と中環でFCCにビール三杯づゝ。帰宅して鰻丼。今年は土用の丑が二度あり今月十九日(陰暦閏五月廿七日)と晦日(同六月初十)だが十九日は外し明後日も不在予定で
ジャスコにて蒲焼き特売 たわら待ち 今日は勝手に土用丑の日
となる。NHK衛星放送で不定期放映のサラリーマン NEO見る。
▼「繁体字復権の兆し」と朝日新聞繁体字復権の兆しあるは事実だが「香港、マカオでは中国返還後も繁体字を使うが手紙では簡体字を使う人が増えた」と。さうかしら。だいたい手紙なんてものぢたひ稀な上に大陸育ちの方を除けばアタシは香港でメモ書きでも、昔からの書き文字としての簡略字は我流含め随分とあるが「返還後に」中共制定の簡体字を使ふ人が「増えた」どころかアタシは「見たことがない」。何でもかんでも「返還で」と「増えた、減つた」を記事にしがち。
▼昨日閉幕の「書展」。入場者は90萬人で昨年より8%増。500の出版社が参加し売上げはHK$4.2億だが平均消費はHK$469で昨年より二、三割減の由。
▼香港のタクシーで「自動ドア」とか「タクシー券のご利用は」と日本語のステッカー貼つてあり「日本で廃車のタクシーが輸出され香港で現役で活躍か」と想像に易いが、どの程度の耐久年数なのかしら?が気になるところ。なかなか年数まで判読し難いが今日、乗り合はせのタクシーに「パイレーツ・オブ・カリビアン」七・22全国ロードショー!とステッカーあり早速、帰宅して検索すると2006年、で三年前。日本でタクシーの耐久走行距離数はどのくらゐ?と思つて調べたら75〜100萬キロ。で三年前に香港で輸入されて……想像すると怖くなるだけ。
▼昨日に続き昼時に中環のMTR站構内を抜けると快餐店に長蛇の列。昼のテイクアウトで辨当買ふ客だが……ちよつと待つた!、驛の構内つて改札過ぎて、つてコトは皆さん入場料払つて、でもまだ客の少ない此処まで辨当買ひに? 中環、金鐘の昼飯にありつく難儀に憐憫感じ入る。
▼乗り物ネタ續くがMTRの康城站の開業。康城站が李嘉誠財閥がゴミ埋立地で自然環境の見事さを賣る日出康城(Lohas Park)に繋がつてゐることは皆さんご存知の通りだが(と乱歩風)、今日、MTRの車内で何気に路線図を見てゐたら康城站の英語名はLOHAS Parkと云ふのだ。Lohasなる自然志向の造語が固有名詞、站名にまでなつたのは世界初では? 而もLOHAS ParkとLOHASは大文字。これはWHOとかIMFとか頭文字とつた簡語は大文字、を倣つたのかしら。香港の驛名でも大文字綴りは此処だけ。いづれにせよ、この自然環境に恵まれた団地も、Lohasなんて言葉を用ゐるのもインチキだからこそ。LohasがLangue Of Hell As Sadnessの略にでもならぬやう祈るばかり。

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