富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-08

五月八日(金)引き続き快晴。昨晩まで三日も!休肝日で、できればこのまゝさうありたいところ。が、厭なのが左下腹部の神経にときどき走る尖つた激痛。ビクッと、突然来るから受身が出来ず目の前に對手がゐれば「痛さう」とわかる。ネットで漁れば「年齢やストレスから来る自律神経失調」。この日剰に毎日、具合の悪さ綴るのも食傷気味だが。で香港の特区薬 Penadol 服すか、でも安楽が特効と思ふと、やつぱり一杯の葡萄酒がいちばん。FCCで早晩、抱へた新聞貪り読みつゝ一杯。パスタで軽く夕食しまして油麻地のCinematiqueへ。映画『ぼくの伯父さん』のDVD購入。今晩は独りJacques Tati 監督の“Playtime”を見る。ウルトラモダンなパリの空港からオフィスビル立ち並ぶ商業区へ、見本市、街頭に曝されたマンション住宅、そして圧巻は新装開店のナイトクラブの慌たゞしさと大騒ぎ、で夜明けと、ロータリーを廻転木馬のやうに回る自動車たちと人々の美しさは前日のウルトラモダンとの対照。たつぷり監督が剪貼の126分版で満喫。前半の見本市や「ぼくの伯父さん」のコントは日本でどこで見たのかしら?と思つたら、ありやゲバゲバ90分だしナイトクラブの大仕掛けの舞台の壊しはドリフの「八時だよ全員聚合」だらう。さう思ふとタチ監督のコメディタッチは日本に影響も大きいはず。だがセンスとしては何といつても伊丹十三伊丹十三が『モノンクル』といふ雑誌を創刊した時にアタシはまだジャック=タチの映画は見てをらず。伊丹十三がタチ監督のやうな映像で笑はせる映画を撮つてゐたらさぞや面白からう、が今になつてふと思へばテレビドラマ『コメットさん』の父役の伊丹十三は当時の子どもにとつて陰気でちよつと不気味ですらあつたが、ありやタチの流れの芸風かもしれない。映画跳ねれば三更半夜近く。寝静まつた新填地街、上海街の街路には果物市場の早朝の競りに向け大型トラックのコンテナから鯔背な若衆ら水果を運び出す。廟街の屋台と賑やかさもタチ監督の映画のあとだと視覚的になんだか混乱のやうな調和のやうな面白さ。暫し眺め終電近い地下鉄で帰宅。
▼上海経由で来港の墨西哥さん今回のインフルエンザに感染してをり滞在せし湾仔のホテルが疫宿として検疫がため封鎖され283人の宿泊客と従業員が閉ぢこめられ七日目。本日晩に開封。ホテルが直面するHennessy Rd通行止めでの騒ぎに午後遅くより湾仔市中渋滞の気配あり。だが多くが渋滞避けたか平時より自動車の通行量少なく燈刻は金曜だといふのにすい/\と走れるから。翌日の蘋果日報は「香港健復了」つて、慥かに一面トップのこの大写しの湾仔のホテルの写真の右肩には「猪流感疫潮跨過第一關」一つ目の峠を越えた、とはちよつと註釈してゐるけど、政府が「念のため」と「疫禍怖さ」での疫宿封鎖の措置が終はつただけで「健康恢復」は言ひ過ぎ、と思つたがSCMP紙も“VIctory”なんて言葉が見出しに。なんだかマッチポンプに思へてならず。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

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