富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-04-04

陰暦三月初十。清明節。ならば清明時節雨紛々、と言ひたいが天気予報は雨でも薄日さし午後遅くには晴れ間あり。昼過ぎまで陋宅に在す。午後なんとなく西環。金葉海南餐庁に海南鶏飯食す。林品珍茶行。さすがに今日が清明節では当たり前だのクラッカー、でまだこの春の龍井茶は出てをらず。鳥渡上質の普洱茶を四両ばかり購ふ。市大会堂で洪榮傑(Kit Hung)監督の『無聲風鈴』Soundless Wind Chime観る。スイスから香港に流れつきたる青年が北京出身で香港に淫売婦の叔母の居所に居候し茶餐庁で給仕や出前で糊口を凌ぐ青年(吕玉来扮す)の財布を盗み、ヒョンなことからこの淫売房に寄寓し彼らの清貧なる同居から話は始まるが、この北京青年がスイスを独り旅するシーンがいくつも重なりKit Hungの脚本の妙。回想や郷愁など雰囲気的にはとても蔡明亮のやう。だが李康生がスクリーンに登場すれば思ひつきり好き嫌ひ激しくならうが、そこが吕玉来なる好青年風の若手起用で結果、嫌味なき作風。尖沙咀に渡り中古カメラ屋数軒冷やかして科学館。エルンスト=ルビッチ(Ernst Lubitsch)監督(1892〜1947年)の映画“Das Weib des Pharao”(ファラオの恋)観る。今更何を語らん哉、の古典大作。Austin街の北京水餃店に餃子食す。旺角の商業映画館でジャッキー=チェン主演の『新宿インシデント(新宿事件)』(日本は今年一月公開予定)観る。ジャッキー=チェンのアクション映画への興味もなかつたが今朝のSCMP紙の映画評で畏友Paul Fonoroff氏が仁侠暴力&人情物の筋は「それ相応だが」ジャッキー=チェンのアクション以外の演技の器量としては出色と評し、それで観た次第。慥かに。日本側が竹中直人加藤雅也峰岸徹(故人)、倉田保昭と「かなり濃ゆひ」配役でジャッキー=チェンがとても地味な性格俳優に見える。新宿に不法滞在者演じる林雪(役名「外鬼」)や錢嘉樂(同「香港仔」)らジャッキー=チェンの脇を固める役者が実に良い芝居見せる。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/