富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-03-31

三月卅一日(火)昼に用事あり数碼港に参る。董建華時代に香港経済発展にと建設のサイバーポートは施設的には立派だが悲しいほど閑散で昼だと言ふのに人もまばら。巨額資金の浪費。こゝまで閑静な環境は香港では貴重でIT系のクリエーターには恰好か(嗤)。地区内の某ホテルの(つて一軒しかないが)恐ろしく日式で値段だけは強きの食肆に昼を食す。帰りに華富団地の銀都冰室に寄り凍奶茶。晩に尖沙咀。香港文化中心で台湾映画『陽陽』観る。鄭有傑なる監督(日本人とのハーフ)が仏ハーフの美貌の女優・林依晨をヒロインに撮つた「青春」映画で而も陸上のスポーツ物と言へば、もうそれで「つまらなさう」で期待もしてゐなかつたが、なかなかどうして再婚した母の夫(陸上部のコーチ)とその実の娘(義妹)との破綻に始まり、モデルから女優になる筋でそのマネージャーとの関係がなか/\面白い。プロデューサーが李崗で、この人は今や台湾代表する世界的な映画監督・李安の実弟。でこの映画もかなり李安が製作に関はつたと思ふと、この筋の面白さも李安なら「なるほど」の展開。Last Tango in Parisとまでは云はぬが都市の大人の面白さ少しあり。今晩二つ目の上映は許鞍華監督の『天水圍的夜與霧』で、一連の「天水圍モノ」かと思ふと食指動かず、主演の任達華の演技の前評判を耳にしたが已に満座で観る機会逸す。ペニンスラのバーにドライマティーニ二杯。最近、もはや頭ら格のバーテンダーP君が若手に酒の誂へを任せようとするのは良い。が任せられる若手はまだ/\。マティーニへの緊張感も足りなければ、ヘンドリックのマティーニで胡瓜の扱ひ方など拙い。けふびのバーテンダーもある面、可哀想なのは「客がバーテンダーを育てる」と思へばバーテンダーが緊張して酒を供するやうな格の客がをらぬこと。何かと緩いサーヴィスを許容してしまふ程度の客ではバーテンダーの資質も伸びず。愛想のある若手、尋ねればバーテンダーになり半年の由。これほどのバーで半年で酒の調合させるとは十年早からう。グラス洗ひ三年。もうどれくらゐお越しなんですか、と尋ねられ十五年と答へれば「僕はまだ小学生です」と。

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