富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-12-13

十二月十三日(土)揚子江以南も冬は寒いのだが暖房がないのが辛い。ホテルの客室はまづ冷房を消し風呂に熱湯を溜めせめてもの湯気で加湿し、寝台には薄い毛布一枚で、ツインの部屋に一人なのでもう片方の毛布を取つて重ね、タオル地のバスローブを縕袍のやうに被りタオルを首に巻き喉対策でマスクをして……と情けない姿。窓際にパネルヒーターでもあつて少し開けた窓からの冷風が心地よく暖まり適度な湿度とともに部屋を暖める北方が恋しい。そんな体勢でどうにか久しぶりの熟睡七時間。朝、夜明けを待つと気持ちも塞ぐどんよりとした曇空。客室で机に凭り香港より持込みの諸事いくつかお片づけ。ついでに一週間ほどの新聞片つ端から読む。少し晴れる。退房してタクシーで広州東站。深圳行きの和諧号の二十分後の出発待つ間に站構内の李先生加州牛肉麺を食す。最近こればつかり。このたかだか15元の麺一杯でそこまで客に媚び諂う勿れ、と言いたいほどの慇懃なる接客態度のチェーン店もさうだが、美容室まで店の外、路上で朝の挨拶と点呼、営業目標の達成に向けての訓話までする光景少なからず。労務管理の徹底はさすが元々社会主義でのお国柄なのかしら。深圳に向う車中、iPod小林秀雄の講演聞く。まるで三木助の落語を聞いてゐるやう。最近は耳にすることも少ない江戸言葉。確か秀雄さんは神田の生まれ。口跡は三木助だがアンリ=ベルクソンなどについて語る話の論理的展開は談志師匠(笑)。説得力があるやうで、よく/\考へて聞いてゐると辻褄が合はないやうなことを言つてゐる。あれが小林秀雄ぢやなければ「何をワケのわかんねぇこと言つてやがるんだ」で一笑に付されよう。だが小林秀雄だから貴重な講演録、となる。さういふ評価の価値観とは何か? 何に価値があるか、我々文明人は客観的なんてことを言ふ。土人はどうだ?土人には我々文明人みたいな客観性なんてことはないが奴らには主観でも実に面白いところがあつて、ベルクソンつて人はそれを……とさういふ語りになる。深圳で知る家に按摩。不景気なこと深圳の按摩業界も直撃の由。客も減れば客の祝儀も落ち込み。普段は強請ることなどなき按摩師も、年の瀬で物入りだから少し祝儀弾んでおくれよ、ッてな具合で濹東綺譚だね、これぢや。この広州行きでも持参した某社製のキャリングケース。2003年に購入でもうボロ/\。一流メーカーのはずがジッパーが当初から緩い。昨晩O君に「贋物の国では贋物を使ふと開き直つても良いのでは?」と言はれた言葉が耳に残り、帰り際に禁断の園の深圳商業城にお立ち寄り。贋物購入は良くない事。本物に限りなく酷使したのが贋物なら、その贋物と質的には同等のノーブランドの3rd party物を入手。値段的には本物の10分の1。香港に戻り湾仔。湾仔の某ホテルで明日の香港国際レースで来港中の入江さんと斉藤さんに再会。荷物を客室に置かしてもらひT氏ら同じくご来港中の競馬仲間5名で歩いて湾仔の杭州酒家。持込みのワインは発泡酒から赤まで5本。ちなみに葡萄酒は斉藤さんの記録によればMARC CHAUVETというシャンパーニュの作り手と提携してるらしいニュージーランドのクォーツリーフQUARTZ REEF・ショーヴェChauvet・メトードトラディショネルNV。一応シャンパーニュの香りはする。チリの大手、モンテス・アルファ・シャルドネ06。ちょっといまいち。アルゼンチンでアラモス・セレクション・ピノノワール06。ピノのくせに濃い。モンテス・アルファ・メルロー06。AOCラランド・ド・ポムロールのシャトー・ラ・フルール・ド・ブアール02。店内が猛烈な臭豆腐の芳香?で居ても立つても居られず「同じ物を食べるが得策」と臭豆腐。日本語のメニューに「中国臭い豆腐の揚げ物」とあり。臭いのは事実だが「中国臭い豆腐」と言つたところが自虐的。食事するにも飲むにも本当に楽しい面子。ちよつと葡萄酒が飲み足りない、とFCCまで遠征して更に一本。イタリアはヴェネト州のトッマーゾ・ブッソーラという作り手のカデルライト・リパッソCadel Laito Ripasso・ヴァルポリチェッラ03。よく飲むのぉ、と我ながら感心。
▼二日の信報で唯霊さんが燒鴨頸尾叉燒嘴と題して湾仔鵝頸橋界隈のイスラム食文化を語る。
老香港都知道鵝頸是個穆斯林區,不但有華人回教堂,也曾有過教門茶居、食肆和以燒鴨、咖喱羊馳譽的大牌檔。
幾十年過去了,滄海桑田,堅拿道的運河水道Canal也被掩蓋架建天橋,當年名店如大三元、北極、茗園都一一消失。區區在六十年代已經光顧的清真大牌檔惠記卻遷入街市,撑持至今為鵝頸的穆斯林文化歷史作見證。
最近老友帶去鵝頸街市吃燒鴨,才發覺多了一家海記也是順�鄉親經營,而且菜肴更多花樣,燒味滷味、咖喱羊之外更還有蒸魚雲、魚腩等家鄉風味小菜。順�鄉親為老友特別弄了個「私伙菜」魚泡蒸鯇魚頭,雖無「江南正菜」換了梅菜心也亦十分可口,遺憾的是沒有「威梳」佐之。
と焼鵝で馳名の恵記に加へ海記を紹介。
一條灣仔道東西兩端保留着濃厚的舊香港風貌,西面的灣仔街市,東邊的鵝頸街市一帶的市集風情,仍可教我們大發思古幽情緬懷一些想當年的滋味。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/