十月十七日(金)小雨。自分が日に何百通のメールを受け取り何十通のメールを送信してゐるか、なんてコトを豪語する奴に限つて実は仕事が出来ないよね、しかも何百通はジャンクメール含む(笑)なんてアタシも普段嗤つてゐるが、実際に毎日、何十通といふ込入つた内容のメールの送信者となつてゐて、もはやメールの往来だけが仕事のやうな日もあり。これこそ虚業の極み。メールなるもの本当に便利なだけか。過剰に連絡が過密となり必要以上の情報が飛び交ひ、ただ無謀に忙しくなるだけ。今週は火曜日に鳥渡、外食したくらいでアトはすつかり陋屋と秘密基地の往復で終はッちまつた。晩に秋らしく栗ご飯。牛蒡や山芋の具だくさんの豚汁。九時過ぎ就寝。
▼史上最悪のニュース番組としての今晩のNHKのNW9。今晩は屋久島の縄文杉。キャスターの田口某は「実は私も先日の休みに屋久島に行つたんですが、ほんと素晴らしい自然ですねっ!」だつたかと宣ひ、実は特集のテーマは観光客激増で環境破壊。キャスター自身もその観光客の一人(笑)。日本と中国以外ならガラパゴス島のやうにさつさと入場者制限し入島者と地場の観光業者から観光税徴収して自然保護に当てるなど当然だが、それすら出来ず地味に観光客に自然保護(殊に自然保護地区での人糞、尿の始末)に募金を願ふのが精一杯とは……。
▼香港政府の某部局より20頁にわたる大量のファクスが届く現場に居合はせる。香港中の関連組織相手に香港と内地の連携、一体化深めるイベント云々の宣伝で参加求めるもの。どの程度の反応ある企画なのかは不明だが一般的感覚として不特定相手に20頁のファクスを送るかしら。先方の担当官に電話で疑問呈すが「OK、OK」と聞く耳を持つでもなし。申訴專員公署(オンブズマン)にでも告げ口したろか。愛国教育運動未だ尚盛ん也。
▼朝日新聞が岩井克人教授に「資本主義は本質的に不安定」と語らせた大きな記事が目を惹く。ケインズは市場経済の不安定さと政策による制馭を説いたが米国政府はその政策の成功の結果、国家機構が肥大化し無駄が大きくなり、これに対してフリードマンらの新古典派の市場主義が注目されレーガノミクスからブッシュに至る。岩井教授は、ブッシュ政権は「規制をなくして、負債でもなんでも証券化し、世界のあらゆる部分を市場で覆ひ尽くそう」とし「近年はいわば、新古典派の考える理想郷をつくる壮大な実験がグローバルな規模で行はれている」と論駁して、下記の通り語り続ける(要旨)。
資本主義はなぜ不安定なのか。それは資本主義が「投機」によって成立しているから。資本主義を支える貨幣それ自体が純粋な投機に他ならない。交易でなんとか他の人が受け取ってくれると予想し、またその人も他人が受け取ってくれると予想できるから貨幣を持っているにすぎない。だから貨幣も投機。貨幣は二律背反的に効率化と大変な不安定をもたらす。貨幣が支える資本主義で新古典派経済学者が説くような効率と安定はあり得ない。米国のサブプライムローンは「返済が難しい」と最初からわかってる人への融資は、それ単独で1件ならハイリスクと映るが、それを大きく束ねて証券化すればリスクが薄められて見え、更に多くの金融商品と組み合わせて厚く積み上げ世界中にばら撒くことでリスクが表面上は見えなくなる。そうした金融商品を人々は恰も最も信用する貨幣のように見ていた。一旦一つが破綻すると信用は容易に失墜して金融危機となる。今後、米ドルの価値が大いに揺らぎかねず、これまで隠蔽されていた貨幣の不安定性の問題は今後は表に出てくるかもしれない。
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