富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-09-28

九月廿八日(日)快晴。気温は朝で摂氏廿五度だが湿度低く風も心地よく秋めいた感あり。朝八時に坑口の地下鉄站でY氏、O氏と待ち合はせミニバスで西貢。北潭涌に向ふバスに長蛇の列。秋のハイキング、トレイルシーズンの到来。私らは水浪窩(海抜100m)に向ひ馬鞍山に向ひ歩き始め丁度一時間で馬鞍山の尾根(海抜560m)。北風に汗をかいた半袖シャツでは薄ら寒いほど。それにしても気持ちの良い秋晴れ。尾根をゆつくりと走る。昴平で九龍まで歩き続けるお二人と別れアタシは独り大水井への下り茅坪新村よりミニバスで西貢。午前十一時過ぎでまだ行列の出来てをらぬ松記車仔麺に食す。ジムにより昼過ぎに帰宅。暫し午睡。午後、尖沙咀に渡り科学館。増村保造監督の映画『盲獣』見る。原作は乱歩だがモチーフだけで映画は異質。盲目の塑像家役が船越英二。軟禁される女が緑魔子。盲目の息子の悪巧みを手伝ふ母親役の千石規子が見事。千石規子といふとやはり黒澤明監督の『酔ひどれ天使』の「ぎん」であり晩年は「男はつらいよ」のリリー(浅丘ルリ子)が再登場の「寅次郎 紅の花」だが、どうしても石立鉄男が出たテレビドラマの婆さん役といふ感じの千石の勝ち気な悪婆ぶりが良い。毒にも薬にもならない人の良いお父さん役のイメージ強い船越英二が若い頃にはこんな猟奇的な役。物語は母(千石)が不意に亡くなるあたり迄がぐゐ/\と奇妙な軟禁の日々に引き込まれるが後半の「狂気的な愛欲」は、乱歩の作品と異なり「これでもか、これでもか」とそのシーンばかり続き、しかもパゾリーニ監督みたいにお下劣に猟奇的シーンは見せないから途中から鳥渡、食傷気味。それにしてもこんな映画、キョービでは「目の不自由な方たちへの偏見を助長する」といつたことで制作もあり得ぬか。帰宅して夕食。珍しくテレビ。『篤姫』見て『エジソンの母』をビデオ録画で見るが二更になる頃には就寝。

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