富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-07-17

七月十七日(木)酷暑。昼にFCCで立法議会から引退のMartin Lee=李柱銘議員(民主党元党首)の講演を聴く。昨日で立法会の今季閉会。馬丁さんは梁「長毛」國雄議員がいかに聡明か、から語り始め、再出馬せぬアンソン陳方安生議員の八ヶ月の議員活動の成果を讃へ、昨年だつたか馬丁氏に関するWSJの記事がどう意図的に「反中」として香港や中国で報道され舌禍事件とされたか、について。この「香港の良心」としての馬丁氏にしてみれば非常に理知的に確かなことは、一国二制度と香港基本法といふ智慧があるのだから、それに基づく法治がなされること、つまり一国二制度下での香港自治が遂行されることが香港ばかりか中国にとつて国益であり、その実現に向けた自らの信念と活動であること。それの何に不都合があるのか、と。そりやその通り。だが現実には難しい。早晩、某氏に誘はれ口開けでHappy Valleyの寿司・澄に一酌。ほんの少しの酒肴のつもりが生牡蛎、馬刺までいただく。その場を辞し昏刻に銅鑼湾。Z嬢とLeighton RdのAgnes b.の営む食肆で晩餐。Z嬢に食前の一酌は幸ひにもバレず。かつては一週間くらゐ予約で満席だつた肆も今では確かに満席にはなるが本日昼での予約も可。全体的にぼさーつとした調理。ちよつと洒落たブラッセリか。Agnes b.なら?もう少しあつさりとした素材感の味付けにすべき。葡萄酒はAgnes b.ではLe Pays d'Ocが売りらしくDomaine MontroseのCab. Syrahの06年。食後、肆を出づればジャーディン山に見事な十五夜の月(満月は明晩)。月を愛でつつCaroline Hill Rdを掃捍埔に向けて漫歩。
▼信報で週に二回掲載される張五常教授の中国の経済制度に関する文章、今日は中国の貨幣制度と人民幣の価値について。興味深く読む。張教授は1993年に中国人民銀行を掌握した朱鎔基の功績を称賛。1995年に人民銀行は正式に中央銀行となつたが課題は、80年代からすでにインフレと人民幣の価値下落が続くなかで、中央銀行が通貨量調整で人民幣にどう役割を付与するか。興味深く読む。
朝日新聞の首相動静が昨日午後「6時10分、東京・代官山町洋食店「小川軒」。家族と食事」と報ず。確かに小川軒は代官山町にあるが、気になつたのはなぜ代官山「町」と書いたのか、である。町名表記といふ点では正確だが「代官山のレストラン小川軒」と言ふのと「代官山町洋食店小川軒」ではだいぶ古風な感じもしたり。確かに首相動静で「東京・紀尾井町ホテルニューオータニ」と書くのを「東京・紀尾井の」と書いたら不正確だが代官山は地域一帯の通称名。歴代の首相らが贔屓にする「西麻布の中国飯店」の場合は「西麻布」は中国飯店のある実際の町名でもあり地域名でもあり違和感がないのだが。気になつて調べると永田町、神保町、牛込柳町……町名がそのまま地域通称の場合、違和感がない。反対に広尾、白金、神泉……と町名に「町」がつかぬ場合も同じ。代官山のやうに通称や鉄道駅名は「代官山」なのに町名は「町」がつく例が他にあるのか、鳥渡考へたが他にピンとくる例がない。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/