富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十五日(日)雨は歇むだやうで小雨幾度かあり。昼前にジムで小一時間走る。午睡。午後遅くZ嬢と香港大学美術館。Le French May(法國五月)未だ続きピカソエッチング画展と1894年の香港でのペスト疫禍に因む疫病専家Alexandre Yersin(1863〜1943)に関する展示を看る。前者は19世紀末より20世紀前半の画商Ambroise Vollard(アンブロワーズ=ヴォラール)による蒐集。後者は北里博士に関する史料も少なからず。西營盤の第三街にて猫と遊び漫ろ歩き前述の1894年の香港ペスト禍が最も蔓延の太平山界隈。当時はペスト蔓延の居住地の建物が壊され焼き放たれ防疫の由。その界隈も今では粗呆区の延長でハリウッドロードには東京なら青山か麻布の裏町の如く洒落たビストロだの少なからず。Classifiedなる食材屋にてチーズと葡萄酒購ふ。帰宅して早晩に頂ゐもののアラン=デュカスのオリジナル三鞭酒Paul Drouetを空豆を当てに飲む。生ハムと無花果、茄子のマリネなど食し南アフリカSpringfield EstateのSau Bの05年。先ほど購入のチーズはかなりあつさりした英国LancashireのMrs Kirkham産と極めて柔らかな仏蘭西のBrie de Maeauxで、麦パンで食す。NHKスペシャルで『病人大行列』と中国の医療事情のドキュメンタリ看る。北京の同仁病院を舞台に高額な医療費でも高度な治療求め全国各地から患者押し寄せる様、また安徽省から幼い息子の失明をどうにか防がうと治療費工面し同病院で治療受ける家族の姿。共産主義国家で人民が高額の医療費負担せねば真つ当な医療受けられぬことも矛盾、だが人民の非難の声も高らかにならぬのが一党独裁の極み。だが現代中国の社会矛盾取り上げるを好くNHKスペシャル
衆議院議員河野太郎君の国会日記より。豪州のケビン=ラッド首相訪日について。かつて在日の豪大使がまだ無名の新人であつたケビン君来日の際に夕食にケビン君と太郎君を招き「将来、君たち二人が首脳会談をやることになるだらうから、今日はそのための顔合はせだ」と笑ひながら乾杯、といふ思ひ出話から始まる。ラッド君が01年に労働党シャドーキャビネットでの外相役時代に日本の外務省が彼を招待したが滞在中に外相も副大臣も忙しいとケビン君に会はず政務官が面会したが開口一番「ようこそいらつしやいました、私は外交のことは何もわかりませんが」と宣つた由。多少長いが引用せば
ラッド首相は、西側先進国の現役の首脳として、たぶん初めて広島を訪れたのではないかと思う。彼は中国語を完璧に話す(少なくとも僕にはそう聞こえる)が、対中外交は、かなりリアリストのようだ。対中戦略は二つの戦略を常に用意しなければならない。一つ目は中国に対するComprehensive Engagement。そして二つ目はハードラインの安保政策。つまり、中国にグローバル社会にきちんと出てくることが有益であるといふことを伝えながらも、それに失敗したときのために米日豪でMilitary Preparednessを高めておく必要があるということ。第二の戦略を持っているということは、強い立場から第一の戦略を遂行でき、第一の戦略なしで第二の戦略だけでは中国が反発するだけ。
首相就任直後に中国を訪問したが日本には来なかったと、記者クラブでの記者会見では、受けはよくなかったようだが、ラッド首相から、労働党政権発足後、半年間で外相、財相、貿易相、環境相、産業相など7大臣が日本を訪れた。では、日本からその半年間でオーストラリアを訪問した大臣は何人いたかと質問され、「とても長い沈黙があった。だって誰もいないから。」
オーストラリアの首相が中国を訪問し、日本に来なかったからといって、日豪関係にひびが入るほどやわではないでしょう。それと同じように、半年間で日本に大臣が7人行って、日本からは誰も来ないからといって友好関係にひびは入りませんよ、とラッド首相は、いいたいのだろう。
では、その半年間、日本の大臣は何をしていたかというと、国会答弁である。特に日本の外務大臣は、衆議院参議院の九つの委員会から出席要請があると大臣本人が、出席しなければならない!(衆議院の外務委員会、安保委員会、沖縄北方特別委員会、国際テロ特別委員会、拉致特別委員会、参議院外交防衛委員会、沖縄北方特別委員会、拉致特別委員会、ODA特別委員会)日本の外務大臣は、外交ではなく内政をやらなければならないのである。
外国に出られない外務大臣に何の意味があるのだろうか。世界第二位の経済大国で、国連安保理入りを目指し、アメリカのよき同盟国といったところで、外務大臣が外国に出張もできなければ外交なんかやりようがない。
と太郎代議士。御意。

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