富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十二日(木)一つ廿数人に迷惑をかける失態を犯し困つたが、その人たちに事情を説明すると予想以上にさばさばと善後策ですぐ妥協していただき香港のかうしたフレキシブルさ有り難い限り。晩遅く麥奴ナルドに食むバーガー。帰宅して昨晩のCh. D'agassacを二杯。
NHKのドキュメンタリーで放送直前に内容改変ありと取材を受けた市民団体がNHKを訴へた裁判。最高裁で原告が逆転敗訴。番組制作者への「期待と信頼」を問ふ、といふ些か抽象的なもの。自民党の安倍・中川両君のNHK番組制作に対する政治的介入問題の有無も問題となつたが根本的には自民党タカ派の先生方にお伺ひ企てたNHKの体質こそ問題あり。だが戦争責任を問ふ、この番組の制作ディレクター自身が原告となる市民平和団体とべつたりでは鳥渡。いづれにせよ一審が原告の訴へ退け高裁が司法の良識見せ原告逆転勝訴、で最高裁が具体的な問題への司法判断避け一般論で二審判決覆す(が被告が勝訴でもない)司法も含め、なんだか三方一両の損のやうな大岡裁きが日本の司法。
▼先頃、香港政府の副局長&政治助理職新設につき「這是政治問題、蠢才!」と発言して話題となつた政府の元高官、王永平氏。今日の信報に「我為什麼批評政府」と、なんかちよつとエドワード=サイード大江健三郎みたいな題で続きを投稿。退官後の高官は封口といふのは英国植民地時代の英国人官僚が退官後、優雅に郵船で帰英した時代の伝統であり今の時代と環境にはそぐはぬ、とした上で王氏は一市民として、殊に一知識分子として社会と政治に対する提言は「任務」と言ひ放ちサイードの知識分子論(邦題「知識人とは何か」)を引用されたのには驚いた。やつぱり論評の題からサイードを意識してゐたとは。で(手許に同書がないので正確に引用できぬが)社会矛盾について言及し改革促すことは知識人の任務、と説かれる。先日の発言時に言つておきたかつたことは、これなのだ、と。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/

知識人とは何か (平凡社ライブラリー)

知識人とは何か (平凡社ライブラリー)