富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-12-21

十二月廿一日(金)母たちと朝、湾仔の龍華酒樓にて飲茶。母が次に来た時にはもう路上には存在せぬであらう交加街の街市ふらふら。ホテルに戻り母たちを見送る。フライトは午後3時だが5時間前に集合で尖沙咀は北京道のDFSに寄り道組み込まれてゐる由。それ、どこ?と尋ねられ「むかしの三越」と答へる会話ももはや老香港。扉を閉められて出てこれない怪しげな土産屋に連行されるよか、DFSに寄るくらゐは、さすがJALのツアーで良心的、か。晩に宴会あり湾仔に向ふが今日は道路が終日、大渋滞。ところでタクシーの運転手、最近、フロントに携帯電話3、4台並べ配車だの仲間内との雑談など続ける者少なからず。携帯電話はハンドセット持つての片手運転だけが交通違反の対象でイヤフォンさへ使へば携帯を4台並べて配車業務すらお咎めなし。運転に集中してをらず、而も大声で通話続け五月蝿いこと甚だし。終日、車を運転することの憂鬱も理解できずが携帯での通話で脳に異常来してゐるのかしら。あんな人たちに命を預けると思ふと怖い。湾仔の某居酒屋での忘年会に招飲受け末席を汚す。午後6〜11時までHK$188(サ別)で食べ放題、飲み放題の由。但し食べ物は残すと100gあたりHK$25の罰金制とか。これは良案。ホテルのなかにあり湾仔でも飲食店としてはロケーションがちと悪く、年末の終末にしては鳥渡、寂寥。純粋な日本料理屋に対して日本風を「日式」と区別するが、今晩のこの店は経営は日系企業ローカライズされてゐる点で「日系料理屋」と呼べばいいかも。ずつと「日式」だと思つてゐた2つの飲食店が、じつはこの日系企業傘下であつたと知る。日本料理の多様化といふべきかどうか。宴会終はり深みに入らず帰宅。ここ数日、11時には寝て朝の5時には起きてゐる生活続く。
▼日本に戻つた母の話では香港で空港に行く途中、鼠楽園に寄り一組の客をバスがピックアップの由。連休以前の平日とはいへ、その閑散ぶりに母も「華がないところ」と。那須塩原だかで無理矢理造つてしまつた遊園地の成れの果ての如し。
▼信報の練乙錚主筆による連載。開始よりまだ二十日ほどで評価は時期尚早かも知れぬが「つまらない」。十九日には前日の全人代に関する文章の訂正あり、全人代常委の人数の間違ひは技術的なものとして(といひつつ常委の規模拡大も専門家としては常識であるべきだが)「中国の国家機構が一党専制であることさへ考慮しなければ基本的には三権分立である」といふ文章も不正確だつた、と。「一党専制であること」を考慮しない、とすることがそもそも疑問だが、党、国家、軍の代表によつて構成される全人代が、よく「国会」と言はれるが国家の「憲法上での」最高機関(つまり三権分立に非ず、だから香港の大陸生まれ子女の居住権なども人民法廷でなく最終的な判断は全人代常委が担ふ)。さらに事実上は練乙錚が訂正したやうに全人代が党が管制する国務院や人民法廷に干渉はできない。この程度のことで誤認があつてはとても新聞の主筆は務まらず。
▼二十日の朝日衛星版で吉田秀和さんの「音楽展望」は今年の総括。通常なら「今年出たCDやDVD」であるべきところ「このところ折りにふれ、見たり聞いたりしてきたCDやDVDの話。発売は厳密に今年のものとばかり限らない」と広さが秀和さんらしさ。バレンボイムが秀和さんお気にのランランら気鋭の若手ピアニスト相手にベートーヴェンピアノソナタのレッスンをするDVD筆頭に面白さう。この音楽展望を読むと、これだけは「年の瀬」を感じ入る。

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