富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-12-04

十二月四日(火)朝五時前に目覚めてしまひ原田治『ぼくの美術帖』読了。新聞も朝のうちに四紙読了。ただの老人。終日多忙。晩に帰宅して山崎をぐいつと一杯、ドライマティーニ二杯。菊正宗で白菜と豚肉の鍋。NHKのNW9で日本の野球隊が北京五輪出場決めアナウンサーが帰国直後の選手の番組出演に「お疲れでせう。ゆつくりお休まれてください」なんてへんな敬語聞きながら眠りにおちる。
▼立法会港島区補選で当選のアンソン陳議員は当選御礼で公民党梁家傑議員運転のオープンカーに同党「黨魁」余若薇議員と民主党マーチン李銘柱議員が同乗し香港島繁華街を「お練り」。やんやの喝采。破れたレジーナ葉候補は敢へて民建聯や自由党、さらに土共暴民ら従へず独り応援御礼行脚。但し出発地点が湾仔沿岸の金紫荊広場といふのがあまりになんとも……親北京。
関東学院大ラグビー部の大麻「蔓延」。監督が「世間をお騒がせした」と辞任表明。「世間をお騒がせした」のではなく「世間が騒いだ」。
▼陶傑氏が蘋果日報の黄金冒険号に日曜日の選挙について書いてゐたのは「1番人気の勝利となつたが、もう一人の勝算の可能性なかつたでもない候補」にとつて何がまづかつたか、といへば「野蛮な暴民」を支持者に集めてしまひ、本来この候補の潜在的な支持層を逃してしまつた、と。御意。陶傑氏、飲食店でいへば料理が美味い、値段、内装、サービスのほか大切なのは“Clientele”である、と指摘。この言葉は中譯が難しいと陶傑氏。顧客、常客は中日同意、日本語ならさしづめ贔屓、さらに日本語には上客といふいい言葉がある。どんな人たちが客についてゐるか、は大切。香港なら蔡瀾や唯靈、アンソン陳方安生、日本なら昔なら池波正太郎山本嘉次郎、今なら林真理子か(えつ?)。それが「えつ、こんな人が」と思はれたらお終ゐ。アタシにとつては葉劉淑儀を料理研究家?の蘇施黄が応援してる段階でゾツとしたが。
▼信報は昨日に続き社説でこの補選につき葉候補側の「鐵票=票固め」取り上げる。保守派の票集約といひつつ民建聯と自由党、范徐麗泰(立法会議長)の前回選挙での得票数の計は14万票で、葉候補の得票13.7万票は僅かながらもこれに及ばず。信報は敢へて「北京が」と言つてゐるが(民意自由の選挙において)票の集約がさう簡単ではないことを勉強すべき、と。また同紙は林行止専欄で昨日社説に引き続きアンソン陳候補当選の負の面についてちくちくと批評。リベラルで公正に信頼高きこの新聞がなぜここまでこれにこだはるか、は読者も深慮要すところ。
▼香港で方蘇といふ名がベテランのジャーナリストとしてまだ記憶にあつたら、読者ももう五十代以上かもしれない。私が氏にお会ひしたのは90年に方氏が雑誌『九十年代』の副編集長時代。李怡氏が編集長のこの雑誌の返還後、方蘇氏がジャーナリストであるだけでなく個性的な画家であることを知る。何冊かみづから絵筆をとつた随筆集も上梓。今日の信報に筆名・黒楊といふ人の随筆あり、それに方蘇氏の香港の風景画添へられる。アタシ好み。

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