富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-11-21

十一月廿一日(水)昨晩NHKASEAN首脳会議で各国が抱へるさまざまな内政問題でベトナム一党独裁と指摘して中国とシンガポールのそれには言及せぬこと同局コールセンターにメールしたら
いつもNHKの番組やニュースをご覧いただき、ありがたうございます。(本名)様からいただいた貴重なご意見・ご要望は、担当者に申し伝へます。そして今後の番組づくりや業務に活かしてまゐりたいと思つてをります。今後とも、NHKをご支援いただけますやうお願ひいたします。お便りありがたうございました。
と返事あり。まさか「なぜ中国とシンガポール一党独裁と指摘しなかつた」なんて理由を答へられるはずもなし。早晩に中環。急ぎで送るファクスありFCCで済ませドライマティーニ二杯。陳成記で上湯伊麺。美倫街のArt Statements Galleryにて香港で初めてAES+Fの作品展あり参観。AES+FはロシアのTatiana Arzamasova, Lev Evzovich, Evgeny Svyatsky and Vladimir Fridkesによる創作集団。AES+Fといへばコーランを手にチャドルのやうな布で顔を覆つた自由の女神など印象的な画像作品多し。少年少女を戦場に置き無垢な彼らが残虐なシーンにある状況が面白いのだが大きな画板で作品を看るとコラージュなど粗も目立ち、かういつた作風はネット上で見たりするはうが刺激的である、と思ふ。それにしてもこのテの作品が香港ドルで一枚45万ドルだとか58万ドルだとか……ちよつと無理あり。高額といへば夕方、取引きなき某銀行より携帯に電話あり「金利がまた下がつてゐるなかでいひ利回りの定期預金のご紹介」と。最低預金高は?と先づ尋ねたら「100万ドル(1500万円)のご用意で結構です」ときたもんだ。「ちよつと遅かつたなぁ……」と見栄でお断り(笑)。地下鉄で尖沙咀。Space Museumで周凡天氏の「解剖世界名曲進入音樂世界」の早くも第三輯「管弦楽編」の第1回を聴く。題材はグリークのペールギュントよりソルヴェイグの歌。この講座、7月に初級編あり5回のうち3回受講、10月に中級編あり9月の時点で全開聴講可、とチケット買つたが急に毎週水曜に何かと予定入り全滅、でチケットを知己のM嬢に譲る。今回はすでに言はば上級編で90分のうち解説は短く音楽鑑賞。朝の気温は摂氏18度くらゐだが乾燥からか鼻孔がかなり敏感でクシャミばかり。
蘋果日報連載の陶傑氏の随筆。昨日の「公廁英語」つまり「公衆便所英語」など読むと、本当に面白い。「トイレにある指示」だけでこれだけ面白く書けるものか、と甚だ敬服。香港の公衆便所など「あれはするな、これはかうしろ」と指示が多いのだが、最近は規則規範の類いが音声でも流れる不愉快。香港のスターフェリーの公衆便所にて、と陶傑氏、例へば普通話で「トイレで用を足したあとは手を洗ひませう」「手を洗ふ時は石鹸を使ひませう」と流れてをり、一瞬、大陸からの田舎漢への偏見のやうだが、実際には地元香港のオヤヂらがトイレの手洗ひ場で汚れた脚を洗つてゐる。「手を洗ひませう」は衛生指導のはずなのだが、読み方によつては「手以外は洗ふな」と読めるから可笑しい。このやうに見ると「煙灰缸只可放煙頭用」、英語では“Ashtrays for cigarette ends only”とあり(実に丁寧だが)これも実は小便器の向ひの壁にある灰皿が(現在では禁煙)吸殻のため、なのに、そこに痰を吐いたり、ガムやはたまた使用済みのコンドームが捨てられたりすることを「するなよ」なのだ、と陶傑氏(アタシは私用済みコンドームまで見たことないが、かういふことに過剰に表現するのが陶傑氏の面白さ)。そして「將痰涎包好」の英訳は“Wrap the spittle” (spittleは痰や唾液)。Wrapは正確にはWrap upだらうが、と陶傑氏、“Wrap the spittle” ではこの痰や唾液は何れの者かのか、がわからず、この命令形では便所で痰や唾液が吐かれてゐるのを見たら何れの者のに限らず、きちんとチリ紙に包んできれいにしなければならず、と(笑)。で正確には“Wrap up YOUR spittle”とすべき。また陶傑氏が公衆便所の個室で「脚が四本」あるのを見つけた時もあり、熟く、公衆便所は「並不是 For 小便的人 Only」と痛感、と。

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