富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-11-05

十一月五日(月)香港の株価は近頃3万ポイントに達せし恒生指数が1,526ポイント(5%)の大幅下落。週末、温家宝首相が中国国内の香港株式市場投資熱にブレーキかける発言の影響。極めて異常な株式市場。早晩、そのニュース伝へる経済ニュースと「どらえもん」のアニメ眺めながらジムで5kmだけトレッドミルで走る。その足で銅鑼湾のCitysuperにより食品売り場徘徊してる最中にZ嬢と遭遇。カクテル酒用に天然のライム果汁購ふ程度で、酒瓶も手にしてゐなければ折から開催の北陸物産展で和菓子などゲットしてをらず、Z嬢の呆れ顔見せられずに安堵。帰宅してジンをライム汁で割り二杯。生まれて初めてインドネシアのテンペなる大豆発酵食品を豚肉や韮茎などと炒めて食す。どうもまだテクスチャに慣れぬ。煮豆沢山食す。NW9は「会津の男」柳澤某が「先週から体調を崩してしばらくお休み」としてゐるが実質的に降板の由。あのいちいちぶつぶつ述べる不愉快なコメントももう聞けぬか。ところで民主党、小沢代表辞任うんぬんの対応で、なぜ党内で幹部も「小沢党首にお聞きしたところ」だの「……とおつしやつていらして」だとのマスコミに語るのか。党内部で小沢帝に敬語使ふのは勝手にして、だが日本語の美徳として対外には身内は「党首に尋ねたところ」「と申してをりまして」と言ふべきものだらうに。
▼今日の株価の下落(1,526ポイント)は1987年10月の黒い月曜日(1,121ポイント下落)や、そのちやうど10年後の97年10月のアジア通貨危機(同1,438ポイント)、更に2000年4月のハイテク株バブル崩壊(同1,380ポイント)を上回るもの。但し恒生指数は3万ポイント超える高値つけてゐたため下げ幅では5%に留まり、黒い日曜日の33.33%やアジア通貨危機での13.7%には遠く及ばず、しかも温家宝首相のコメントに端を発する株式投資高騰への抑制が意図されたもの、として、市場はけして混乱には至らず。
▼昨夕のギネスは気候の所為もあらうが殊更美味かつた。ギネスビールのコースターの裏側にあつた言葉。
The Presence of Beauty. When Keats wrote "A thing of beauty is a joy forever", he echoed the thoughts of Arthur Guinness as he first considered the beauty of the Black Stuff back in 1759. Of course, the only drawback is that no pint lasts forever. Which begs the question, "Whose round is it?"
はなんとも「きれいな英語」の手本の如し。これを訳させるなら開高健だらう。さしづめ雑誌『洋酒天国』とかに
美しさがそこにある。英国の詩人、ジョン=キーツ(1795〜1821)が「 美しきものは永遠の喜び」と書いた時、キーツはアーサー=ギネスに呼応してゐたのだ。アーサー=ギネスはキーツに遡る1759年、彼の生み出した黒漆色の飲料に、もう魅了されてゐた。勿論、その一杯は飲み干され、永遠に存在しないのが悲しいが……。まぁ、そんなことはいいか。おい、つぎの一杯は誰だつけ?
……とか書きさうだが、これでも日本語ではキーツの詩も、ギネスの時代にも疎いから説明つぽくてまどらつこしゐ。まぁ、コースター一枚でしばし酒が楽しいから、それでいいのだけど。
▼先週末のThe Economist紙で特集は“The new wars of religion”である。この問題でも世界の関心は中国へ。キリスト教にとつてもイスラム教にとつても「近い将来、信者でもつとも多数を占めるのが中国になる」といふ事。たつた一言だが、想像しただけでここから様々な問題が浮かび上がる。
▼中国といへば、今日の信報によると、今年12月31日に?落しの落成祝賀演奏会が予定されてゐた北京国家大劇院、のそれはなかなか詳細明らかにされず、結局、年明けのNew Year Concertに延期。で別途、12月22日に遡り開幕式挙行。もともとは大晦日に開幕式挙行し続く演奏会は小澤征爾の指揮で「当然の如く」郎朗でオケは中国国家交響楽団(China National National Symphony Orchestra)のはず。が、結局のところ、中国の首都北京の国家的コンサートホールの開幕で日本人に指揮されるとは!といふ愛国的配慮からこの演奏会は取り消し。12月22日の開幕式は「国交」を同劇院の音楽監督・陳佐湟が指揮し、他に北京交響楽団(指揮は譚利華)、ソリストは李雲迪(ユンディ=リー)、1987年のパガニーニ国際バイオリンコンテストで金賞の呂思清ら。国家の威厳をば誇示する大劇院の落成を自国民で盛大に祝ひたいといふのは真つ当、鴨。小澤征爾は、瀋陽生まれで少年時代を北京に育ち、1978年からだつたか精力的に中国のオケとの共演続けてゐるわけで、しかも、かういつた「お祭り騒ぎ」的な祝祭空間での演奏に長ける点では申し訳ないが陳佐湟や譚利華とは格の違ひもあらう。だが、やはり小澤が中国で生まれ育つたのも、その歯科医師である父が満州青年連盟、協和会の創設者の一人であり、征爾の名も父が親交あつた板垣征四郎石原莞爾から一字づつ貰つたもの、となれば「左派的には」小澤征爾のこの?落しでの起用は反革命的なの鴨。だがこの記事は「小澤征爾が過去三十年にわたりボストンフィルを率ゐたことは米国人の感情は傷つけなかつたのだし、これまでの中国政府による日本からの円借款も中国人の感情を傷つけたか?、と指摘。
民主党代表小沢一郎君、代表辞任も今更驚かぬし自民・民主も烏合の衆で政界再編成は必要だと思ふが小沢君の会見での「民主党も本当に政権担当能力があるのか、国民から疑問が提起され続けてをり、次期総選挙での勝利は厳しい」といふコメント、これが自らの党の代表として、と思ふと驚くばかり。まさに「政権獲得をめざす参院第一党の党首が会見の場で自分の所属する政党の政権担当能力に疑義を呈するといふのは、考へられないことだ」(沖縄タイムス社説)。アタシにとつて民主党は、なぜ松下政経塾と旧社会党が徒党を組めるのか不思議。『ほつとけよ』で田原牧さんが松下政経塾の塾生について指摘してゐる言葉が核心をついてゐる。
彼らは自民党に空きがないとなると、旧社会党民主党からためらひもなく立候補した。政党の主義主張など二の次、そんな節操のなさを突かれると、すぐさま「二大政党制への変革を促すため」といふ小理屈で塗布してみせた。

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