富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-09-22

九月廿二日(土)快晴。気温は摂氏廿六度。湿度50%台で風もあり心地よし。室内の日陰にあれば冷房も要らず。子どもの頃、夏とはこういうものであった。本来であれば裏山にのぼり一、二時間走りたいところだが今週は疲労と倦怠感著しく、おまけに今朝方の夢見悪し。机まわりの整理などして昼に至る。数日前の朝日新聞吉田秀和氏の音楽展望「バイロイトの今」を読む。夫人の死の絶望と老いを通り越してしまった「若い」吉田秀和がこの夏、バイロイトへ出かけて!観た「ニーベルングの指環」の、氏から見たらずっと若い演出家らの果敢な表現への積極的な理解。アタシのようなオペラ音痴にもぐっとくる、わかりやすく、而も哲学的に深い解説。オペラが舞台と音楽の総合芸術であることを、まんべんなく見て、それを伝える氏の、ああ、なぜ八旬の氏のこの青春の如き日々かしら、とただただ敬服。午後、部落の寄り合いあり。終わって風呂に入り帰宅。先日Z嬢が築地で購った生山葵を賞味しませう、とかまぼこや焼いた蓮根など食す。この季節の菱角なども頬張る(美味いものではにないが)。ようやく半藤一利荷風さんの戦後』読了。
第10回北京国際音楽祭。さすがオリムピック来年開催控え音楽祭も盛り上がり。バレンボイム、巴里交響楽団などなど……の中で最も大活躍は郎朗。さすが。郎朗のための音楽祭の如し。音楽家演奏家である以上にプロデューサーであり政治家でなければならぬ、の見事な例。10月25日の Lang Lang and Christoph Eschenbach with Orchestre de Paris のこれは見てみたい。……とまで書いておいたが信報の文化欄の記事によれば「5+4+1=10」と、これが何かといえば5つのオケ、4人の指揮者で1は郎朗で、郎朗がこの一ヶ月の音楽祭で5つのオケと4人の指揮者相手に演奏するピアノ協奏曲が10曲だそうな(演奏会は8回)。まさにオリンピックの景気づけ利用して郎朗が独舞台。まぁ今が旬、やれるだけやっておきましょう、と、これは芸人にとっては大切なこと。沢瀉屋だって病に倒れれば観られないのだから元気なうちに頑張っておいてもらって良かった、と同じこと。それにしても郎朗の個人プロデュース企画で、ならいいが北京国際音楽祭という晴れの場をリサイタルにしちまうのだから凄いプロデュース感覚と政治家根性。
▼母国秘露で刑事訴追されているフジモリ容疑者、滞在先の智利でも秘露政府からの引き渡し請求再審理で智利最高裁は「軍による民間人殺害への関与」等の容疑で引き渡し認める決定。今回の決定は異議申し立て出来ずフジモリ容疑者近日中に秘露に移送され母国にて刑事裁判被告として最高裁で裁かれる由。秘露以上の母なる国、日本で間違って国会議員になどなっていたら「日本の馬鹿さ加減」世界に更に公表するが如し。落選はフジモリ容疑者公認が国民新党であったから、の幸甚。これが下手に自民党であったら、最悪。だがフジモリ容疑者の公認が自民党でなく国民新党であることも、同党の亀井静香チャンは「民主党自民党以上の幅の広さ」懸念してみせるが国民新党ぢたい「鵺の如し」。
▼中国天主教北京教区で昨日、教区主任(李山)の就任祝う聖典あり。当然、中国天主教愛国会の傘下での任命だが、かつて中国のこの愛国教会嫌悪したヴァチカンは北京に歩み寄りの姿勢みせ、先日、安徽省だかで愛国教会が任命の主教をヴァチカンが承認。今回の北京の教区主任任命もヴァチカンは容認らしい。雪解けといえば聞こえがいいが、政界より政治的なる宗教界。ヴァチカンと中国共産党は巨大カルトvs巨大カルトの攻防戦か。それにしても最近、中国で任命される主教だの教区主任、なんだかどのツラ見ても聖人の徳など感じられぬ、むしろぬぼ〜とした間抜け面ばかり。いったいどういう人がどういう基準で選ばれるのか。ふと北野武監督の『教祖誕生』彷彿。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/