富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-05-31

五月卅一日(木)余は公式見解として煙草は吸わぬことになっているのだが、たとえば『演劇界』増刊の『役者名鑑』とかの役者プロフィールとかだと「煙草」という項目あり(今はどうか知らぬ)。禁煙が趨勢の世、これに市川海老蔵の項にマールボーロメンソールライトとか出るかどうか。團十郎はたしかマイルドセブンライトだったが病ひでさすがに禁煙した、と思う。この「煙草」の項にさすがに大部屋の女形が「ハイライト日に二箱」なんて書けないので「嗜み程度」って言葉がいい。お酒も「おつき合い程度」で。であたくしの場合、煙草を吸わない、と思ってもライターだけは愛用の品ってのがあって傍に置いてあるから、今では焼香の時くらいしか使わないのだが、愛着あるライター、がロンソンのVaraflameで、これが着火石がチビて最後ほんの微かになっていたのが着火石をいれる細い管の中でどうしたことか転んで杭のように嵌ってしまい、さぁ大変。どうにかそれを取り除こうとしているうちにライターが分解されてしまい、さらに大変。1947年に登場のこのライター、仕組みは簡単だが歯車のちょっとした調整が大切、でどうにも復元できず。でロンソン社のサイトを見ると「愛用のライターを修理いたします」と、さすがZippoのように素敵だが、1990年以前の製品は修理承れません、の一言。困った。あたしのは80年代にアメ横で購ったもの。で途方に暮れたが、さすがノガミだねぇ、ってなわけで上野にはちゃんと(株)インポートフジイの修理工房なんてのがあって古いライターの修理を引き受けてくれる。当然、完ぺきにガス抜きしてこの修理工房に送る。舶来のライターだってのにこうして伝統として息づく、こういうところが「美しい日本」かしら。英国にもライター修理の職人はいるのだが連絡先がわかったくらいで、上野の修理工房のようにネットで情報提供し「とにかく送ってください。診断します」までのサービスはない。日本語が読めないと、この幸運もない。本日まだ胃痛あり。また養和病院で医師の診断請う。何か食べると食道の最後から胃の入口あたりが傷むので食べるのもついつい億劫になりオートミールなど糊状のもの舐める程度。しかも熱いものは激痛するので冷ましてから、では味もない。昨晩もあまり食せず、困ったもの。今晩は灣仔の泉記で紫菜四寶河粉。胃痛でも美味いものは美味い。諸事忙殺され晩遅く帰宅して「のだめ」のコミックス6〜9巻通読。
▼安倍三世、松岡農林水産大臣逝去につきメールマガジンで曰く
私は今、内閣を率いる立場としての責任の重さを改めて噛みしめつつ、しかし、この深い悲しみを乗り越え、内閣をあげて、全力で国政に取り組む決意を新たにしています。
文中の「しかし」の意味解せず。「内閣を率いる立場としての責任の重さを改めて噛みしめつつ、この深い悲しみを乗り越え」が自然だと思うが。「しかし」が入るとどうも弁明っぽいというか何というか「この深い悲しみを乗り越え」を通り過ぎて「首相としての今回の件に関する責任はある」がしかし「今後も首相としてやってきますからね」と聞こえてしまうのはあたしだけかしら。
▼政治的言動では完ぺきに抑えられた中国だが民衆は土地とカネ、つまり資産についてだけは当局の言いなりにはならぬようで土地については華南中心に政府による土地の強制接収などにつき警察と血を流す抗議抗争もあり、カネについては暴騰する、バブルな上海株式市場だが政府が京滬(北京と上海)につき株式売買での印紙税を0.1%から0.3%にする発表で昨日は上海市場が6%暴落し股民(株式投資者)が政府財政部のHPへ攻撃や財政部へのデモにまで発展の由。中国が政治運動でなく「資本家としての民衆」による蜂起で国家が不安定な状況になるとしたら、これは歴史的に面白い鴨。まるで英国の産業革命後の市民革命を見るが如し。

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