富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-04-29

四月廿九日(日)瑞西の時計商Audemars Piguet協賛で国際G1競馬QE II Cupの開催日。……実はこの日剰を綴る卅日まで提供は同じ時計商でも、てっきりPiagetだと思っていた次第。知名度と認知度からして、この誤解している方はあたしの他にも結構多いのでは? というわけで昼前にZ嬢と佐敦のPホテルで蘇州から来港のかつての競馬仲間I君と、I君と一緒に青島からいらしたT嬢と待ち合せ晴れ晴れしくKCRの一等車で沙田競馬場。某倶楽部の有するボックス席でお食事&競馬観戦。国際G1開始日のボックス席はゲット難なのだが(キャセイパシフィック航空マルコポーロのボックス席も同様)、Amexのコンセルジュにお願いしたところ上手く手配してくれた結果。最近の香港ジョッキークラブのクラブ御用達葡萄酒は智利のSenta Helenaのカベルネソーヴィニョンの05年。1レース目から延々擦りもせず。第3レース(芝1200m、クラス2)でMedic Powerは今日も二馬身差で堂々の5連勝(1負)。今後の重賞レース楽しみ。第6レース(芝1400m、クラス3)では一番人気馬に続き単勝99倍と表示のOpera MagicがMarwing師騎乗で同着二着に入る。電光掲示板に集まる視線。結果、複勝がHK$414で、一番人気単勝HK$49.50との連複がHK$4697.50もつく。Marwing騎手、第4レースでは「国士無双」なる馬で勝ってもいて南アフリカ代表として香港に凱旋の感あり。で本日の国際G1は2レースあり緒戦はThe Champion Mile(芝1600m)で一番人気は三月にChairman's Trophy制し目下クラス1で三連勝中のGood Ba Baなり。アタシはThe Duke(星運爵士)の入賞は固いと見て、これを2、3着のいずれかの軸としてLinngari(南非)、Good Ba Baにダービー二着のFloral Pegasusの三連単で挑んだのだが大方の予想に反しAble Winが一着(配当はHK$330.50)。二着には調子が回復のJoyful Winnerが入りThe Dukeが三着。このレースでのAble Winの勝利から「Moore調教師がMick Kinane騎手招聘したことの意義」を見出せたら良かったのだが(結果論)。でAudemars Piguet協賛のQE II Cupなのだが何といっても人々の関心はドバイでDubai Duty Free Cup制したアドマイヤムーン武豊騎手)に集まり一番人気。同じドバイでシーマクラシック制したVengeance of Rain(爪皇凌雨)に地元の期待。でアタクシは今年のダービー馬Vital Kingなのだ。だが本日の馬場は先行馬逃げ切りが続いておりマカオのカジノ王Stanley Ho博士のViva Patacaが優勢となり(Dr. Hoの持ち馬はもう一等、今年のダービーで9着と酸敗のViva Macauも参戦) アドマイヤムーンも第四コーナー手前で大外からドバイよろしく後方から渾身の追い上げ見せたが十頭立ての十枠で出だしも悪くペースは遅いし苦しい展開で三着に食い込んだのが精一杯(日本馬は02年と03年にエイシンプレストンが二連覇)。で一昨年にこのレース制しているVengeance of Rainの二着も妥当ではあるが一着は結局、Viva Patacaが逃げ切り。各馬ゲートインの直後に観衆から「おーっ!」と唸り声上り何かと思えばスクリーンに第四夫人と一緒のDr. Hoの姿映し出され「いやな予感」したがViva Patacaの勝利に第四夫人は髪振り乱し歓喜極まりなし。でViva PatacaといえばMoore厩舎で昨年のダービーをC Soumillon騎手騎乗で制し昨季末にはMich Kinane騎手でCharter Cupも勝っていたのだ。だが本日は完全にno marking哉。で終ってみればMoore調教師がKinane騎手で今日の国際G1総嘗め(翌日のSCMP紙の競馬欄によればKinane騎手はDr. Stanley Ho直々のご指名だったそうな)。日本では天皇賞メイショウサムソン皐月賞、ダービーに続きG1三勝目、で凱旋門賞狙うとか。で九レースまで「擦りもしない」状態でI君には申し訳ないがZ嬢と先に退散。帰途、レース結果を見れば結果的に「よくあるパターンで」馬券だけはすっからかんになる前に勝っておいた最終レースの単勝がようやく当り(クラス2、芝1600mでEgyptian Era)軍資金の三分の一ほど回収。一旦帰宅して晩にZ嬢と湾仔のホテルで『ハロン』編集長の斎藤さんと今回初めてお会いした香港競馬に詳しい(というか香港全般に、の)土屋さんと待ち合せタクシーでJardine's Lookoutの益新に食す。ワインはホテル近隣のWatson'sで購入の新西蘭はHawkes BayのWoodthorpeのSauvignon Blancの05年と米国加州Napa ValleyのBeringerのピノノワール05年。それに斎藤さんが競馬場で入手のSenta Helenaの三本で本日はかれこれ九時間くらい延々葡萄酒に酔っている。湾仔のホテルに戻りラウンジで一飲。ヘミングウェイよろしくライム味でフローズン=ダイキリのシュガーなし。斎藤さんから『競馬ブック』の今月15日号をいただく。斎藤さんの連載でドバイワールドカップの馬券が香港やシンガポールなどで発売されていること取り上げ日本でも日本馬参戦の国際レースなど馬券発売しては如何か、という内容でドバイの日に深夜、レース三連勝で一人欣喜雀躍のアタクシが深夜でこの喜びを誰と分かち合おうか、とドバイの斎藤さんの携帯にメッセージ送ったのがこの斎藤さんの文章にエピソード的に書かれていた次第。
石原慎太郎阪神大震災について「主張の判断が遅かったから二千人余計に亡くなった」と発言したことについて本人は一昨日の定例会見で「ちょっと数字は違ったかも知れないけど、佐々さんの受け売りでね」と「男らしくない」逃げ口上。佐々が歩けばテロが起きる、の佐々淳行はこれについて石原都知事に対し災害時の初動の重要性を説く際に「二、三千人ほどが助かったでしょうね、と言ったかと思う」と述べる。こうした発言が軽口程度で本人が弁明を済ませ、それが都民の間でさして問題視もされず。「美しい日本」まさに此処に在りき。
朝日新聞読書欄で佐藤忠男氏が「たいせつな本」の「下」で取り上げたのは太宰治の『津軽』。先週の長谷川伸の『沓掛時次郎』も興味深いが大宰で『津軽』とは。映画評で「理屈を述べた文章の中にふっと私的な感慨を短く書き込んだりするのが面白い」のは大宰の影響だと佐藤氏。文章のリズム。

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