富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-04-11

四月十一日(水)早晩に滑り込みで西湾河の香港電影資料館。映画『火龍』見る。映画祭に合わせ今年は李翰祥監督の特集。李翰祥監督といえば『江山美人』『梁山伯與祝英台』『状元及第』など数作は見てはいるが、八十年代以降の映画は見ておらず今日の『火龍』は梁家輝が清朝末帝・愛新覚羅溥儀を演じたもの。戦後、戦犯としての思想改造を終えて一公民となった溥儀が北京で看護婦の李淑賢と再婚してから亡くなる日々までを、皇帝時代の回想や二人の幸せな日々、文革での惨状など李淑賢が口述した原作に基づき映画化。溥儀というとベルトルッチの『ラストエンペラー』のジョン=ローンの印象強いがさすが梁家輝が見事に日常生活に欠陥のある、それでもどこか愛着もてる元皇帝を見事に演じ切る。これが梁家輝、30歳、主演二作目くらいのはず。李淑賢役の潘虹も看護婦なのだが、どうみても首都医院(文革時は反帝医院)の女医の如し(実際に82年だったかあたくしが首都病院で出会った女医と瓜二つ)。かつての妃を演じる李殿朗と李殿馨も愛憎をよく演じるが、この二人は監督の実娘。89分の長さで、よくもまぁ清末の回想から収容所生活、戦後の「解放」の日々、文革の最中の出来事の数々まで上手に描いた、と李翰祥の上手さに脱帽。文革など溥儀や政協関係のリベラル派、知識分子が「上部の指示で」公安に検挙されるのだが実はこれが文革での糾弾から彼らを守るための周恩来による保護であったような逸話まで挿入。ベルトルッチの映画より数年前の製作で、いくつか同じようなシーンあり(例えば観光地と化した故宮を溥儀と李淑賢が歩きツアー客相手に語る末代皇帝の態を耳にするシーンなど)なのはベルトルッチも李淑賢の口述を読んだからだろうか。それにしても梁家輝が役者として上手すぎる。(李翰祥の映画特集はまだ数作続くが)本日で今年の香港映画祭終了。期間中28本しか映画見られず。毎年40本は軽く見ていたのだが今年は、とくに後半かなり忙殺されて、の結果。佐藤忠男先生は来港ありやなしや。毎年ご夫妻の矍鑠としたお姿拝見していたが……。隧道バスで尖沙咀東。バンコクのY氏が東莞より香港に戻りZ嬢と三人で五味鳥に焼き鳥を食す。

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