富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-12-13

十二月十三日(水)通りがかりでJardine's Lookout(渣甸山)の居民協会の建物内に近々開店の益新美食館の新店を眺める。此処は翠亨村茶寮という料理屋のあったところ。「高官飯店」と呼ばれるほど渣甸山付近に住まう政府高官などがこの食肆贔屓にしたが旧態依然ぶりに客足も遠のき九月に突然の閉業。尖沙咀のミラマにある翠亨邨茶寮と同じ経営なのだろうか、きっと。そこに益新飯店が出来るとは。かつて九十年代にLockhart Rdの鴨頸橋から利舞台に移る頃の益新を贔屓にした者の一人として、Happy Valleyに小食館復活しただけでも嬉しかったものだから、この拡充で、あの焼鴨がまた食せる日が楽しみ。二日続けて晩飯逸したが今晩は自宅でカレーライス。トリスウイスキーハイボール。ついつい見てしまったNW9、小泉之御世のタウンミーティングやらせ問題で「当時の官房長官だった安倍首相は」と画像流れたあとでキャスター柳澤秀夫は、いつも飲酒運転や公害など所謂「社会悪」に対しては強い憤り見せるくせに政治絡みとなると「会津の男」らしからぬ腰砕けで今晩もこの「やらせ」が時の与党政府によるものだからこそ徹底的に罵倒すべきところ、画像流れたあとでキャスター柳澤秀夫は「で、安倍首相の反省は?」と担当記者に穏便に尋ねただけで記者も記者で「ええ、安倍首相はかなり反省しているようで」と、まぁ対安倍となるとこの弱腰。かつてのNews10の今井環さんのほうがまだマシ。
▼昨日の蘋果日報は「泛民大勝」と大見出しは、日曜日に「香港特区行政長官選挙で投票権ある選挙人を選出するための選挙」があり、一定の条件で投票権得た市民の各業種別の投票により計800人が選出されるが、民主派推薦の137名のうち114名が当選し、これに18名の立法会民主派議員も加わると民主派で132票となり、行政長官選挙の立候補者を出すに必要な100名を大きく上回る結果、となる。民主派統一候補は公民党所属の立法会議員・梁家傑氏。民主派の選挙人100名当選も微妙と思われていたが、法曹、高等教育、教育、IT、エンジニアリング、会計、衛生医療の各業界では民主派候補が全員当選果たす(法曹界では民主派が独占)。この結果で「中国側震怒、新華社は選挙結果報道せず」(蘋果日報)という見方もあれば「民主派内での民主党の弱体化と中道左派的な公民党の弁護士の登場に中国側は楽観視」(14日信報)という見方もあり。実際の行政長官選挙は現職の「自称政治家」Sir Donald君の当選が固いが800人の選挙人の投票の行方は、まさか董建華選出の時のような茶番にはならず、民主派のほか一定の票が梁家傑に流れるかしら。いずれにせよ北京中央にとっては悪い状況に非ず。ところで前述の業界別選挙で民主派が法曹や教育で好成績だったのに比べ観光業界が5名立候補して全員落選、体育演芸文化でも1名擁立して落選、という結果も興味深い。観光業界がいかに中国旅行社など大陸系で押えられているか、また体育演芸が組織としていかに体制的か、の証左。
▼松竹会長で歌舞伎界の首領、永山武臣男爵逝去。享年八十一歳。薩摩人。祖父は第二代北海道長官の永山武四郎(陸軍中将)。高等科まで学習院三島由紀夫も旧知の間柄。香港で十年以上前の橘屋の歌舞伎公演の際、播磨屋との鳴神であったか、橘屋さんの計らいで通し稽古見せていただく機会あり。客席に武臣会長の姿あり。あの播磨屋が会長のダメ出しに「はい、はい」と恐縮して聞き入る姿に驚く。歌舞伎でいつも変だと思うのは襲名披露の口上で「高いところから失礼いたします」と言いつつ役者らが、まずは襲名で「このたびは松竹、永山会長のご推挙を得まして」などと自らが属する芝居小屋の胴元にまずはお礼申し上げるケッタイぶり。まずは贔屓にしてくれる客であろう、礼を言う相手は!、と思うのだが、そういう常識すら通じぬほど松竹の歌舞伎というものが永山男爵一人の天下。智利のピノチェト将軍も逝去。ピノチェトによる智利の自由主義改革に協力したFriedman逝去の直後とは。

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