富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-10-12

十月十二日(木)毎週木曜日は小泉三世にかわり安倍晋三君からのメール届く。
こんにちは、安倍晋三です。
昨日、わが国は、北朝鮮に対し、すべての北朝鮮籍船の入港を禁止する、北朝鮮からのすべての品目の輸入を禁止する、など厳格な措置をとることを決定しました。
……「こんにちわ」で語ることだろうか。今朝の朝日新聞の社説「君子豹変ですか」は安倍三世の首相就任後のソフト路線、リベラル的姿勢に「これじゃ朝日新聞と変わらない」という声を紹介し軽妙。ただ、なぜ持論を変えたのかきちんと説明しろ、と言うが、そんなの質さずとも「首相になりたい」「首相をしていたい」からなのは当然。本日、晩に寸暇惜しんで湾仔の茶餐庁にて(嗚呼、なんでこうも高カロリーなものばかりなのかしら……と思いつつ)せめてもの健康志向と羅漢齋(つまり仏式精進)炒麺食す。仏式精進でも油たっぷりなのは御愛嬌。それにしても美味なる炒麺。香港ではアタクシの好きな「固い焼そば」なのが嬉しいところ。茶餐庁多き雑居大廈の横丁で制服姿の中学生の女の子、たぶん自分の親の経営する店か、店の外、角のテーブルで手慣れた手つきで餃子の皮に餡をつめる。ちょいと恥ずかしそうな表情がまた好感。遅晩にジムでサウナに寄り帰宅。Bowmoreを数杯。キース=ジャレットのチェンバロでバッハのフランス組曲など聴きながらパイプ手入れ。怒濤の如き一日の最後ふと心休む。
中村京蔵さんの「山月記」、脚本を書いた村上湛君が歌舞伎座地下稽古場で稽古に立ち会うにつけ、村上君が坐る場所、ふと思えば十数年前までなら、そこに大成駒が坐り稽古を仕切っていたであろうこと思い、いろいろ感慨深いものあり、と。いい話。大成駒の晩年、可愛がられた若き頃の京蔵さん、湛君、葵太夫さん。こうして芸が継承されていくこと。六世歌右衛門もあの世でさぞや喜んでいるでしょう。
▼小泉前首相、安倍現首相ともども就任前後に創価学会名誉会長と隠密裏に会談。北朝鮮核実験よかこちらのほうがずっと興味深いが新聞はベタ記事扱い。
▼中薬港(香港を漢方薬のメッカとする珍妙な計画)の挫折だのCyber Portや香港鼠楽園の大失敗にめげず偉大なる香港政府、今度は「中華教育枢紐」なる、中国の英才をば香港に集め高等教育施す計画を提案。陶傑氏がさっそくそれを嗤う。香港で二年の大学教育受けたものがケンブリッジ大学の三年級に転学できるのか、ケンブリッジケンブリッジでも九龍塘の劍橋養老院でないよ、と。北京大学が世界の大学ランキングで東京大学より上の10位代前半にあり清華大学など優秀な大学いくらでもあり更に優秀な学生はOxbridgeやハーバード、MITなど米英に留学は必至。なぜに香港に英才が集まろうか、と。机上の空論もいいところ。で昨日、行政長官「自称政治家」Sir Donaldによる施政方針報告あり。特区政府中央政策組首席顧問の劉兆佳君(かつて香港中文大学政治行政系講師でボルチモア=サン紙記者であった畏友R君の指導教官、香港の竹村健一宜しく保守的に辛口の政治批評続け董建華に請われ政府入り)は信報に「以民為本、均衡發展」とSIr Donaldの施政方針演説を(そりゃ劉君本人の書いたようなものだから)誉めるが信報社説は英国統治時代の総督による方針発表に含め「歴史上最短的、重大政策欠奉、一切留待競選」と厳しく論評。
▼長野県で田中前知事時代のG階知事室だの記者会見の「表現センター」などが現知事によって姿消す。記者会見が記者クラブに仕切られず一般市民参加など評価すべき点もあろうが朝日の記事に地元紙記者が答えているように「いやな質問をする記者は指名しない、まともに答えない印象だった」点はあろうし、一旦嫌うと徹底的に罵声浴びせぬの気の済まぬ前知事の姿勢は怖いものあり。ドクトル=ジバコ的な怖さ。とても都知事選に反石原陣営の統一候補では危なすぎて推挙できまい。
衆院職員が国政調査費による「海外研修」で年度末に欧州で美術館めぐり。だが名目は「欧州各国における請願制度等調査」で美術館に関わりはなし。それを衆院事務局は取材に対して「美術館などに行っているのは、各国の文化・伝統について調査しようという意識の表れ」として「請願制度は幅広い。どんな請願が来るかわからないので、非常に広範囲の知識が求められる。派遣目的には『等』と記されており、そこには文化の研究の意味も含まれている」と呆れるばかり。それなら風俗探求も広範囲での請願に必要かも。
ディープインパクト今季で引退。
能楽師喜多流シテ方)粟谷菊生氏逝去。享年83歳。
柳家小せん師匠逝去。享年83歳。「女房のケメ子が」で笑わせ、喪主は妻のシゲさん。

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