八月十二日(土)朝九時半に根津。国立博物館の西側敷地内の一角座にて『ゲルマニウムの夜』(監督:大森立嗣、2005年)見る。八ヶ月のこの劇場での公開も八月十五日が最後の由。面白い作品ではある。が、意表をつく衝撃的シーンも、そればかりが続くと食傷気味。修道女の淫乱も精神性というより寧ろ「修道女、激寒の情事」に見えてしまったり、劇中三人の同性に奉仕するおフェラ係のような若者も不憫だし、修道院とその学園という空間を舞台に荒木経惟的に「可笑しかった」というしかない鴨。香港で国際映画祭なり掛るであろうと期待していたがカソリックの冒?という点では海外上映はかなり制限されるであろう。それにしても、このマイナー作品が上野国博の敷地内に特設の上映場所をば設けて八ヶ月のロングランとは思いきった話。一昨日の如く入谷を流し日比谷線で午後に築地。天気怪しく門跡通りでさっさと昼飯を済ませようと鮪丼の瀬川に向うがすでに閉店。「かんの」に鮪丼食す。朝食を食べてないので(と言い訳にならぬが)珈琲スタンド「シープ」にてカレーライス。朝日新聞の社員など毎日こんなもの食べられるのだから幸せ。食中に俄然黒雲が流れ寄り「ドカーン」と雷の一撃のあと風呂桶引繰り返したが如き大雨。真っ暗。そのうち小雨になろうが時間がないので「カレーにまで食指のばすから」と自分に呆れつつ地下鉄の築地駅まで東本願寺の前を抜けるだけでズボンびっしょり。東銀座。歌舞伎座。八月納涼歌舞伎(第二部)で福助が芸者おきち役の「吉原狐」、踊りで団子売(扇雀、孝太郎)、玉屋(染五郎)に籠屋(三津五郎)を見る。「吉原狐」は村上元三が先代勘三郎のための書き下ろしで四十五年ぶりの上演の由。吉原一での慌て者で評判の芸者、おきちの役は福助のニンには非ず。「今月は旅に出ているようで」と三津五郎にからかわれていたが先代のために書かれた喜劇を勘三郎(当代)がふざけて演じたほうがもっと面白かろう。三津五郎の籠屋の芝居、さすが踊り上手。これを見に来た感あり。Z嬢と銀座で待ち合せ。はち巻岡田に寄るがお盆休みか閉店。とりあえず七丁目のBrickに行きジントニックとハイボール。明日の成田エクスプレスの乗変し(ブッシュの所為で成田の警備復た厳重となり混雑の由)カメラのドイにニコンのD一眼のパーツ購う。目が眩むほどに欲しい写真機など多く、いけない。ライカのM7とか店頭で御自由に触ってください、としてあるのだから驚くばかり。丸ノ内線で新宿。Z嬢贔屓の三丁目の「鼎」に食す。鰯のなめろう、烏賊刺に酒は島根の李白の純米酒。最後の〆に熊本桂花ラーメンで太肉麺。かつては長い行列の「行列のできるラーメン屋」の先駆けも話題になって四半世紀で静か。だが新宿というと、やはり此処。丸の内線で銀座。ホテルに戻る。