富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-08-05

八月五日(土)晴。昨晩は窓を開けて扇風機かけて寝ていたが祭の晩とはいへ改造エンジンの自動車やバイクで大騒ぎの若者。警察は(不審者などどうでもいいから)迷惑な彼らの取締りとか真剣にしているのかしら。ただ権力的には彼らは「テロリスト」でなく寧ろ有事の際には「兵隊」であるから。朝食に老舗の洋食屋「喜久水」のカツサンド。朝から池波正太郎みたい。Amazon紀伊国屋、日本各地の古本屋から、この春以来届いていた書籍を香港に持ち帰るのに片づけ。なかにはマルタン=ヂュ=ガール著『アンドレ・ジイド』福永武彦訳(文藝春秋、昭和28年初版本)など貴重な古本や中井英夫著作集などあり、ついつい片づけも中断がち。市街の大通りの昔に比べるとさびしい七夕飾りやいくつかの山車を眺めながら恩師K氏宅に届もの済ませ、母と笠間に向う。笠間稲荷神社に参拝。本殿のなかで一組がお祓い受けているが冷房つき。神社向かいの「二ツ木」という昔からある稲荷寿司を購う。この「二ツ木」なる鮨屋、稲荷神社の向かいで稲荷寿司売っているが、お持ち帰りのみで、狭い店内のテーブルには神社や店の宣伝よか「憲法九条は(略)過去数千年の歴史で最も進んだ考え方」と憲法九条と平和、護憲といったパンフレット並ぶ異色の護憲寿司であった。皇紀二千六百六十何年だかという神社本庁の看板の掛かった笠間稲荷の前で、神社の参拝客相手に護憲とは。なにせ笠間稲荷神社のご祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)で、この神様は須佐之男神(すさのおのかみ)と神大市比売神(かむおおいちひめのかみ)との間に生まれた神さまなのだそうだ。このお稲荷さんが結んだ神社と護憲寿司の関係が可笑しい。笠間日動美術館クレパス画名画展。著名な画家の作品のうちクレパス画に限り百点を超えよくぞ集めた、と思ったが、これはサクラクレパスのサクラアートミュージアムのコレクション。小磯良平画伯(http://ja.wikipedia.org/wiki/小磯良平)の裸婦像が素晴らし。が伊藤梯三という画家(1907〜98)の裸婦と老人の人物画に見入る。佐白山のとうふ屋という豆腐屋で木綿豆腐と厚揚げ、豆乳を購う。話し好きな店主と母が懇意で店内で先ほど購った稲荷寿司を食わせてもらう。豆乳のソフトクリームも美味。茨城県陶芸美術館。ここで「現在陶芸の粋」という特別展あり。圧巻は伊藤赤水(五代)、島岡達三、徳田八十吉(三代)、原清、三浦小平二、吉田美統という東日本にある六人の人間国宝の陶器。この十数点眺めるのに数時間かけてもよい。それに続き若手の作品が続くが、中でも松井康陽という作家の作品がひときわ気に入り見入っていると母に松井康陽の実子だと言われ納得。康成は数年前に他界の笠間焼の大家(人間国宝)。独特のくどさあり。個人的にはまだ四十代の息子氏の洗練された作風がいい。常設展の最後で板谷波山http://ja.wikipedia.org/wiki/板谷波山)の展示を観賞。波山を語り出すと「陶芸の近代」そのものなのだ。一旦帰宅。散髪。晩に鰹の刺身など食す。TBSテレビでかなりの熱の入れようのHero'sなる格闘技番組眺める。番組冒頭から「Hero'sに初めて参戦の桜庭選手が新たな伝説を作ります!」と断定。せめて「作れるか!」くらいにしてほしい(笑)。が最終取り組みの桜庭君は確かに一瞬記憶朦朧から復活の勝利で「有明の夜に桜吹雪が舞っています」という紙吹雪の演出も無駄にならなかったようで。晩遅くにスーパー銭湯に浴す。

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