富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-07-27

七月廿七日(木)今朝発行の小泉内閣メールマガジン。案の定、昭和天皇A級戦犯合祀について何も言及なし。一週間も前のことは天皇の発言とて屁の河童か。夕方諸用あり茘枝角。「香港工業中心」というまるで軽工業で香港の高度経済成長支えたような名前の大きなビルあり。青山道に面したビルの一角覗くとビルのなかは問屋多く入ってみるとアメ横状態で実際には問屋が半端物処分といった風の小売り店軒を並べる。大陸からの旅行客も多し。尖沙咀風呂屋で擦背。Z嬢とLangham Hotel地下のMain St. Deliで成人病の元凶Reuben Sandwichと蟹肉のコロッケ(これは美味)二人でシェア。香港文化中心にてシャルル=デュトワ音楽監督し指揮の中国広東国際音楽夏令営(Canton Int'l Summer Music Academy China)の演奏会ありアルゲリッチのピアノ!でベートーベンのピアノ協奏曲1番、そしてオケだけに戻ってのショスタコーヴィッチの5番を聴く。昨年より広東省佛山市にて「アジアのタングルウッド」目指し夏に中国中心にアジア各地より16歳からの英才集めての音楽活動。かなり期待したが予想通り。アルゲリッチが「砂かけばばあ」ならさしずめデュトワが「子泣きじじい」の元夫婦。舞台に出てくるなりアルゲリッチの所望で二人でスタインウェイのピアノの譜面台外して、のベートーベンの1番、ちょっと緊張のオケの演奏に思いっきり「こんなのあり?」でアルゲリッチがピアノで乱入。聴いたことないようなベートーベンの1番なのはオケが若いからデュトワの解釈教えれば素直にそれを音にするゆゑ。その若いオケをアルゲリッチが上手に使って、ただただ見事な1番。満場の拍手にアルゲリッチはアンコールでバッハのイギリス組曲シューマンの「子どもの情景」から続けて(おそらく)スカルラッティソナタ。幕間に「こんなコンサートありますよ」と教えたらシンガポールからわざわざ来港のG氏と「予想以上に面白い晩になりそう」と語る。かなり聴くキャリア研鑽のG氏もこのジュニアオケが「名古屋フィルハーモニーとかね、あのレベルはじゅうぶんにある」と。ショスタコービッチの5番。木管が秀逸。金管も充分。惜しまれるのは弦楽器、とくにバイオリンが、技術力あるがやはり木管などに比べ「いい楽器」持たせてあげないとせっかくの技量も音にならず。殊にコンサートマスターのバイオリンなどスポンサーが一流の楽器を宛がってあげたいところ。ソ連の厳しい時代生き抜いたショスタコービッチ共産党政府に求められた「社会主義リアリズム」の音楽も中国の共産主義下の経済成長での明るさだと、こうなる(よくわからないが)、のショスタコービッチの5番はこんな明るい5番聴いたことなし。デュトワの指揮も数年前に聴いたN響の時に比べ踊るよう。さすがに2楽章でも他人の音を聴いて合わせるまでの余裕もなく、3楽章ともなるとこの若いオケには難しいのは事実。だが夏だけ集まって、これだけの音の出せる若い弾き手には喝采。盛んに聴衆はアンコール求めるがアンコール曲の準備なくデュトワが何度も現われ楽団を称賛す。終わって歐陽應霽君に邂逅。期待通りの音楽会と歩き話。
▼昨日、盂蘭盆について何か知ってることを教えてください、とM君に尋ねられる。実は何も知らず。香港のことに詳しいと思われているが年中行事とか節句とか、とくに沢山の人が集まる催事、ドラゴンボートも饅頭祭も正月のライオンダンスも何も見たことがないのだ。
ミャンマービルマ)で少数民族カレン族武装組織「神の軍隊」を率い軍事政権と戦う12歳の双子の少年二人はジョニーが機関銃、アーサーがくわえ煙草で、その写真はいまだに印象鮮烈。あの当時のそれを吉田秋生が漫画で描いたらさぞや素晴らしい作品となっていたかしら。それから早六年。少年二人は部下とともに翌01年タイ軍に投降し難民キャンプ暮らし。今回報道されたのは「軍事政権と戦った「伝説の少年」ジョニーが政府に投降した。今は18歳前後とみられるジョニーは投降後、「家族や親類と平和に暮らしたい」と話したという。(略)ジョニーら約10人が今月中旬にミャンマー側に入り、政府に投降した。ルーサーの消息は伝えられていない。政府側がジョニーらを拘束しないことを条件に投降を働きかけたとみられ、「他の武装組織へのメッセージ」(外交筋)との見方も出ている」と、以上は朝日新聞こちら)の報道。だが築地のH君曰く、この「投降」というのも額面通りに受け取っていいかどうか。シャン族の「麻薬王」クンサーもカタチの上では投降したことになっているが実際には政府は「投降」発表で面子をとり、クンサーは相変わらずシャン国を実行支配。つまり「休戦協定」みたいなもの。ジョニー青年が「どういう条件で」「投降」したかは定かでなし、と。御意。この報道、朝日に比べ毎日新聞こちら)など「カレン族の象徴的少年兵が投降 国営紙報道」として(バンコク藤田悟特派員)「ミャンマー国営各紙は26日、少年兵集団を率いて国軍に対する抵抗を続けた少数民族カレン族の象徴的存在であるジョニー・トゥー氏が軍事政権に投降したと一斉に報じた。国営紙によると、トゥー氏は先週、少年兵9人とともに投降したという。」とこの「報道」がミャンマーの軍事政権下での国営紙だけであることを強調し「投降の理由は明らかにされていない」もので「軍事政権はここ数カ月、抵抗を続ける反政府勢力「カレン民族同盟」(KNU)拠点への攻撃を強めており、「投降報道」はKNUの戦意低下を狙う意図があるとみられる」と記事を〆ている。これが報道というもの。
▼元最高裁長官矢口洪一氏の弔報で東京新聞が「元裁判官の江田5月参院議員は司法修習当時、矢口氏が教官。「司法に国民が参加する方向を示された。惜しい人を亡くした」と話した」と算用数字氾濫(教えてあげたのですでに訂正されているだろうが、こちら)。加藤6月氏も数ヶ月前に逝去。小泉純1郎とか中村勘3郎とか。

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