富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿四日(金)夜半からかなりの降雨あり。ヘラトリ紙に紐育時報の記事で中国から米国に渡る養子縁組の話あり。中国の一人っ子政策の余波にて二人目以降の「手放し」あり。殊に女子が大部分。一人目の子が女子であった場合の手放しも少なからず。91年より海外、その大多数が米国、から中国の孤児をば養子とする正式な「やりとり」始まり92年より本格化。これまでに55,000人の中国の孤児が米国に渡る。そのうちかなりの数が広州での「引き渡し」で白天鵝酒店(White Swan Hotel)がそれが盛んであることはこのホテルに泊れば一目瞭然。ホテルでは慣れぬ様で幼子を連れた白人夫婦が目立ちホテル周辺は育児用品売る店も少なからず。雨やまず。春雨というには気温摂氏十七度で肌寒し。かなり早晩にFCCのバーで佐藤優国家の罠』二百頁ほど読み続け読了。日本が小泉政権となり(自民党宏池会的な)ケインズ型公平配分政策からハイエク型傾斜配分、新自由主義に転換し、外向的には明治以来の(昭和の前半は崩れたが)地政学的な国際強調主義から排外主義的なナショナリズムへの転換をするにあたり「時代のけじめ」として仕組まれた様々な罠の一つに鈴木宗男や著者(佐藤優)がスケープゴートとなったという。実際にこの「国策捜査」の幕開けや幕切れなど見れば明らかに検察がきちんと何らかの指示に基づいて動いているのも明らか。実際に著者をば尋問し続けた担当官はこの国策捜査終了と同時にお役御免で水戸地検に栄転?。この国策捜査で一つ上手くいかなかったことは「外務省のラスプーチン」と呼ばれた著者が国策調査に動じぬ程の「得体の知れない」人物で東京高裁で係争中。鈴木宗男新党大地で永田町に舞い戻り。時代のけじめはそう安易につくものに非ず。晩に自宅で山芋、オクラに天かすの「とろろ」飯など食す。岩波文庫広津柳浪の『今戸心中』から「變目傳」読む。
▼朝日の社説で「国王に頼る切なさ」とタイのタクシン首相の傍若無人ぶりに端を発せし政局混乱につき国王のご沙汰で首相更迭含みで政局安定まで図るタイの政治風土評して民主主義の成熟覚束ぬ、と説く。確かに。だが政治家に英知なく国王に叡知あらば国王に頼ることもプラグマティズム的。問題は在位60年になるプミポン・アドゥンヤデート国王(ラーマ9世)にここまで頼り、つまり戦後のタイの成長そのものがラーマ9世の御世ならばタイはそれ以外を知らず。問題はその後のことであるのも明白か。

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