富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十八日(土)午前中はジャスコからの食料品のうち水物などの配達待ち、というのは口実で、さすがに昨晩の、というより今朝までの深酒に朝寝貪る。今週のたまった新聞まとめ読み。16日の蘋果日報で蔡瀾が確か二年前に香港国際映画祭で上映され香港で評判になった“The Barbarian Invasions”を面白い映画、と紹介。紹介が遅いのは許すが、随筆が徹頭徹尾、その映画の筋の紹介だけ。これのどこが随筆なのだろう。嗤われて当然の随筆だが本人が開き直っているから。その最低な随筆の右隣に陶傑氏が「給我一個報告」という随筆を書いている。秀逸。日本でいえば日本航空のように何かとトラブル続きのKCRC(九龍広東鉄道)での上層部のクーデターを論い年収1億円を越える高官らにどれだけのマネージメント能力があるのか、と嗤う。彼らにとって何かにつけ出来る判断といえば部下に「レポートをすぐに提出するように」の一言で、あとはトラブルについて独立調査委員会を成立させ、その結果を待つことだけ云々と揶揄。新聞読みも昼に至り、午後も九龍の馴染の風呂屋に按摩の怠惰なる一日。晩に所属するランニングクラブで定例会あり銅鑼湾四川料理屋満江紅。一昨年の秋にはTrailwalkerにて100kmを一緒にあるいたI君の送別会でもあり。四川火鍋。さすがに終わって大人しく帰宅。
▼16日の信報で曹仁超氏が連載の投資者日記に中東の株式市場に対しての懸念をば買いている。ドバイの金融市場についてこの日剰に書く必要もない気もするが、この日剰を読んでいる人にはドバイに関心高き人も少なからず。02年1月から06年1月までの四年間での平均株価の上昇はエジプトが1100%、ドバイが630%、サウジアラビアが600%とまさにバブル。それがドバイは指数で見れば昨年11月9日の1267をピークに現時点で611まで下落、五カ月での下落率は52%、サウジも2月25日の20634から14900まで28%の下落。2000年3月の米国のITバブル崩壊直前に米国での上場企業の株価総額は米国のGDPの1.83倍だったそうだが昨年のサウジの同額はGDPの4倍に達しておりサウジ企業が計画している紅海またぐ大橋の建設には30億米ドルの資金調達が必要だが、この企業のP/E(株価収益率)は44倍にまで膨れ上がっていたりもする。曹氏はサウジの株式市場では28%の下落でもまだ足りず50%かそれ以上の下落でようやく現時点のサウジの体力に見合う、としている。
▼数日前のIHT紙にThe New York Times紙の記事“High-wattage fight over Hong Kong”という香港の電力事情の記事あり。李嘉誠の香港電力とKadoorie家の中華電力(CLP)が棲み分けする香港の電力供給に中国の電力事業寡占する李鵬(元首相)の一族が虎視眈々と介入目指し李鵬の娘の李小琳も積極的に香港にての事業展開。揚子江三峡ダムとて本当に治水が必要なのか李鵬一族が電力事業するために巨額の資金動くダム建設が必要だったのかよくわからず。ダム建立の結果、中国の大地にどれだけ自然環境の変化与えたか結論は将来子孫に大きな影響与えよう。それに比べれば香港での電力事業など小さい話か。
▼日本の新聞が立川の自衛隊官舎での反戦ビラ配布に関して、その逮捕から裁判までどれだけ熱心に報道しているか、また国民の関心がどれほどのものか、全く期待もできないが(日本の国民の実質識字率は5%、という話が佐藤優国家の罠』に出ているがこれについてはまた別に書こう)、SCMP紙(16日)にDavid McNeill記者が日本のこの危険な状況について、ほぼ紙面一頁大を使って報道。日本では反戦という、世界で普遍的な市民運動について過剰な警備がされ、反戦運動に積極的な市民がテロリストのように扱われ、司法もどこまで中立に市民の人権を守るのか、日本の平和なような実は異常さについて。
▼先日、日剰に天皇皇后両陛下による三宅島訪問で明るい島民が両陛下が「こちらに来るとは思ってみませんでした」と語っているのに字幕には「こちらに来られるとは思ってみませんでした」と言い換えられた事。NHKのご質問窓口にメールして返事もこないので忘れていたら「比較的簡易なご意見・お問い合わせ(再放送の問い合わせ・出演者や音楽の問い合わせなど)につきましては、メールにて回答していますが、それ以外の場合は、お手紙などで回答しています」だそうで「「ニュースの字幕」について、ご意見をいただきましたが、お手紙にて回答申し上げますので、誠に恐縮ですが、(富柏村)様のご連絡先のご住所をご連絡いただければ幸いです」とNHK視聴者コールセンターからメールあり。さすが皆様のNHKでご意見、質問には丁寧にお答えいただけるそうな。

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