富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-01-13

一月十三日(金)快晴。朝刊に「ニコンおまえもか!」のフィルムカメラからの撤退。父の遺品となった何台ものニコン一眼レフカメラのうち、まだ現役で使えるF2とELは今、手許にあり。そのうちF2とContaxのG1とT2はまだ愛用したい、と思いつつ実際にはデジカメばかりな今日この頃。かなり久々に日の暮れる前に出街。中環の陳生記でカレー牛南伊麺食す。晩の往診まで僅か三十分くらいだが余裕あり上環をふらふら。目的のない散歩などかなりひさびさ。上環に小さな小粋な食肆ふえたことを知る。往診九時半すぎに終わり、ふらりとバーRに寄り一酌。夜な夜な人影すくない中環の裏町を歩く。帰宅。
▼Z嬢からNHKニュース10が三月の番組再編で打ち切り、と聞く。ニュース10がテレ朝のニュースステーションの対抗番組であったことなど今更「そうだった」と思い返す。今井環君のあの当り障りのない、毒にも薬にもならぬコメントが今後は聞けず。
▼手書きの字というのは上手い下手の個性もあるが国民性のようなものもあるのだろうか。具体的には言えぬがアメリカ人っぽい数字の書き方とか英国人の筆記体とか。フランス人の、コクトーは更に独特だが。そして明らかに中国人の手書きの漢字には日本の書き手とは大きな違いあり。それについては誰だったか日本の高名なる書家が「日本人は仮名に逃げることができる」のに対して漢字と対峙する中国人には漢字だけの文字に抑揚があるようなことを述べていた記憶あり。で、紹介するのがタイのチェンマイのThe Wokの給仕の若衆が書いた伝票。英語なのだが、雰囲気は完ぺきにタイ文字。見事なほどにアルファベットがタイ文字化している。ロラン=バルトなら、この伝票から記述を起こしてしまうだろう。とても真似できぬタイ的な美しさ。
▼麺好きと自認しているが蘋果日報の麺の美味い店特集で紹介された5軒が黄大仙の(つまりホンハムの蔡瀾美食坊の、ではない)詠藜園四川菜館の四川酸辣麪、Tsuen湾の蘭州拉麺皇の酸辣雲呑拉麪、Quarry Bay濱海街の江南村の無錫排骨湯麪、中環の京味居の大鹵麪、東来順の雑菜炒番茄麪。東来順は三色素麺だかをシャブシャブのあとに食し、この雑菜炒番茄麪こそ食したことないが、他の4軒はすべて食して確かに美味なる麺。この5軒ではTsuen湾の蘭州拉麺皇がいちばん美味いと思う。
▼今朝の朝日で「ミスター円」こと榊原英資がかなり明確な前原批判、と築地のH君に言われ新聞開く。あ、ほんとだ。「三者三論」の「前原民主党、どうする」という特集。山口二郎が『世界』的に良識的な模範解答の持論展開は当然として、田中秀征が前原に甘いのは小泉にも甘い秀征らしさ。で榊原君が冒頭から「ずっと民主党を応援してきたが、今の前原体制には違和感を感じる」と。具体的には「前原路線なら民主党の「影の内閣」の財務、金融担当大臣など一切お受けしません」の三行半。民主党という「野党」があっても、問題は小泉を支持する人は前原も支持、小泉を支持しない人は前原も支持しない、ということ。つまり小泉三世がいるかぎり(後継指名でも受けない限り……笑)前原の政権奪取はありえない、ということ。安倍晋三安倍晋三で「靖国参拝の総裁選での争点」について「靖国はもともと小泉賛成が総裁選で公約に掲げ参拝して政治問題化したもの」なのだから「争点にはしない」のは如何か?と記者に問われ「そうした経験からいっても、争点化しない方がいいということではないか」と。つまり「糠味噌が臭い、とわかっているなら蓋を開けるな」ということ。何も解決していない回答だが「官房長官としては」模範解答。と。即座にこういう切り返しができるくらいの知力はある。本来の政治家・安倍晋三としては
あったのだ。官房長官としては模範解答である。もっとも政治家・安倍晋三としてなら「国内の問題で中国韓国にはガタガタいわせません」となるべきで記者諸君がツッコミを入れるところだが官房長官だし。

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