富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月廿七日(木)湖南省で家禽流感(H5N1)に感染の鶏肉食した少女が死亡し弟も隔離中であること証実される。中国で家禽流感の現状がどうなっているのか中国政府の情報公開につき世界保健機構も懸念表明。SARSであれだけ騒いだ日本もSARS疫禍未然に防いだことで衛生大国と自任したのか今回の家禽流感についてはあまり深刻な報道も見受けられず。香港では政府がこの家禽流感に効力があるといふスイスのRoche社のTamifluについて備蓄がいくらで来年までに備蓄増がいくらと数字出しているが日本は対応はどうなっているのだろう。厚生省の最新情報はほとんど昨年の「騒ぎ」の時のもので終わってしまっているしタミフルについても世界的な需要高でWHOなどの勧告によりロシェ社が製造方法の情報公開に踏み切ることが日経の報道などにある程度。で感染が拡散した場合の、まさに疫禍(実際の感染より感染恐怖のパニック状態)がどうなるかと想像すると恐いものあり。
小泉内閣メールマガジン。このMMは小泉内閣の性格をよく表わす。巻頭の小泉首相は在京のイスラム諸国大使らを官邸に招いての「イフタール」(回教の断食明けの食事)開催について語る。
皆さんに持ち寄っていただいたおいしいお国料理を少しずつごちそうになりながら、日本とイスラム諸国の友好協力関係をますます発展させていくことができれば素晴らしいことだと思います。
と首相は語る。イスラム諸国との友好関係築くために米国のイラク占領への追従こそ弊害と思うが如何に。だが首相は
食事は私たちの心やからだの健康をささえていくためにも、とても大切なものです。「知育、徳育、体育」といいますが、私はこれに加えて「食育」が大事だと思っています。(中略)
秋も深まってきました。食欲の秋、皆さんも楽しい食事を通じて、人と人との心のつながりを大切にして、健康な心とからだで、それぞれの秋を楽しんでいただきたいと思います。
と一人ほのぼの。これに続き文部科学大臣中山成彬君が
学校では、現在、中学・高校で、柔道や剣道などの武道を選択履修できることとなっているが、ダンスとの選択になっている。ダンスがいけないというわけではないが、もったいない。私としては、男女を問わず、もっと多くの子どもたちが武道を修得して欲しいと願っている。
と「武道のすすめ」を説き、内閣のメールマガジンだが特別寄稿で海上保安庁の特殊救難隊隊長が「漁船第三新生丸転覆海難救助」について語り、慶應義塾大学助教授で「日本21世紀ビジョン」に関する専門調査会グローバル化WGメンバーの教授が「ジャパン・クール(カッコイイ日本)」についてヴィジョンを述べる。印度や中国の急成長の追い上げの仲で「活力ある日本はいかにして実現」するか。
鍵は、「開かれた文化創造国家」を目指すことだと考えています。日本が技術力を高めて、「世界の知的開発拠点」となっていく……。その拠点には世界から国籍問わず優秀なヒトや企業が集まり、互いに刺激して新しいアイデアが生まれ、製品化されていく。日本でしかできないモノづくり、アニメ・映画などのコンテンツ産業が発展し、「ジャパン・クール」なイメージが定着……。
と薔薇色の未来。この日本に
世界では日本文化をよく知る「知日人」が増えていく。現在は訪日する外国人の数は少ないが(世界32位:03年)、観光客や留学生をもっと受け入れられる開かれた社会へと発展。それが近隣諸国との関係改善、国内雇用の確保へとプラスの連鎖反応をもたらす。
と大学生の国際関係論での提出レポートぢゃありまいし。ご本人も指摘しているが
知日人が増えれば地域経済統合に向けた地盤固めとなります。もっとも、政府もアジアを中心に経済統合を急ぎ、安定的な経済パートナーを確保するさらなる努力が必要ですが。
なわけで、この内閣自身がその障碍になっていることをどう考えるのだろう。「日本でしかできないモノづくり」なんて今さら嗤わされる。騙されてはいけない。それにしても、食文化の大切さを説く首相、武道で修養を説く文部大臣、取り巻きの学者の説く薔薇色の未来。なんてノーテンキさ。末期的。
▼ビデオニュースドットコムで亀井静香先生の言論を半分ほど聞く。首相が独裁的に振る舞えば民主主義社会であれば市民がそれに否定的に動くはずが首相が好き勝手すれば国民がそれを痛快に感じる、という現状。今回の総選挙の結果でもこれで改革が進む、と安心する。これを小泉三世という人はわかっていたのではないか。それに対して亀井先生は民衆の判断力を信じ、誤解していた、と。亀井先生の指摘は正しいが、言われた<民衆>は「何、言ってんだよ」とよけい小泉支持か(たぶん)。良識も教養も今は通用せず。