富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2005-10-11

農暦九月初九。重陽節。朝4時半に寝て8時にすつきりと目覚め朝食。さすがに転た寝するが天気も快方に向かい11時くらいに山に入り大潭を小一時間走り南 岸。重陽節は掃墓ばかりか高いところに登ると縁起がよいのだろうか。パーカー山道も湾仔市街の如き人出。山中の澤でコケて左腕強打。さいわい傷にならぬが 左手人さし指突き指。海岸で秋の青空の下、陽射しきびしくも汗も流れるほどでなし松本健一の『竹内好論』(岩波現代文庫)数章読む。夏なら炎天下にとても 読めぬ。共同体論が面白い。赤柱からバス乗り継ぎ帰宅。晩に帰国するT夫妻に誘われもう一組のT夫妻とZ嬢とで尖沙咀の天香樓に食す。初めて。いきなり「はい、何人?名前?」みたいな給仕日 本語で問答無用でジャスミン茶出され「まだこういう店があるのか」と驚く。料理は食材はいいが、かなり塩味強過ぎ。「標準杭菜」と名乗る杭州料理の名店だ が他の最近の杭菜が洗練されあつさりなのか、わたしが減塩すぎるのか。世界一この店のが美味いといわれる上海蟹も酔蟹も誰も「蟹、蟹、蟹」がおらずパス。 蟹味噌麺だけは食べて帰りたいT夫人の所望。美 味だけど値段には見合わない鴨(Quarry BayのIsland Placeの「袖山」で雲丹&蟹味噌パスタは値段は半値以下だが味噌の味加減といい秀逸なるパスタといい美味い)。筍だの豆苗だの確かに素材は何処よりも 厳選。紹興酒も余が今まで飲んだ紹興酒のなかで最も美味い。が、うま過ぎて料理に合わず。料理なしでじっくりと盃を傾けたい芳醇な甘さ。メニューには日本 語で「28年も紹興酒」とある。「28年物紹興酒」の「の」がなくなってしまったのだろうが「28年も紹興酒」だと気合い入っているし「それじゃ28年前 までは何やったねん?」と笑える。「ソースつける、これ、美味し!」の給仕の様にもようやく慣れ(最近、こういう古典的な観光ズレも珍しい)慣れるとこう いう店では広東語使う必要も店員どおしの上海訛りの北京語に合わせる必要もなく日本語で臆面もなく「お茶のコップくださ〜い」とかやつていればいいのだ、 と達観。給仕も慇懃無礼よか実はずつと愛想いいこともわかる。8卓だかのフロアは満卓でそのうち4卓は日本人。常連らしき客は2組(計4人)であと2組も 観光客と接待。上海蟹とフカヒレスープを注文しなくても給仕の愛想が悪くならないのだから。蔡瀾先生の如き常連中の上客とあとは日本人などで「普通の料理 屋じゃ満足せぬ」観光客でもっているのであろう。それで晩の実質的には18〜21時の営業でやつていけるのだから、それが店の格か。妙に納得。食事終わり 「塩からさ」で甘味欲し6名で通りがかりに初めて麻布茶房。 宇治金時かき氷を食す。甘さに深みないが若い客筋なら誰もそれに文句も言ふまひ。香港で宇治金時かき氷食せるだけでも御の字。

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