富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月朔日(金)曇。毎年このエイプリルフールは重い曇り空に思い出すは二年前のSARSの疫禍。この日は香港疫埠に指定されるといふデマが流れ、而も芸人レスリー張國榮君マンダリンオリエンタルホテルからの投身自殺まであり。憂鬱。佐藤真監督の記録映画『阿賀の記憶』観る。阿賀野川に沿って暮らす人々の貴重な記録片だが『阿賀に生きる』撮影されてから十年後の続編であるため前作観ておらぬと難もあり。阿賀の老人らの会話方言聞き取れず英語字幕読む程。この映画に“The Children of Leningradsky”といふ作品同時上映。文字通りモスクワのレニングラード地下鉄駅構内や周辺に路宿する孤児らの物語。地下鉄站構内での物乞いだけならまだしもこの孤児ら狙った淫買、シンナー中毒、さらにこの孤児らによる大人の乞食襲撃など悲惨壮絶。何も弁明もなければ孤児らへの評価を避けたこの記録映画らしい記録映画が『阿賀の記憶』に先立って上映されては『阿賀の記憶』がよりくすんでしまった感もあり。香港中央図書館横のローズデールホテル。客人と会う迄少し時間あり楼上のバーで麦酒飲む。このバーの洗面所は銅鑼灣一望。客人連れ蘇杭料理の「新天地」。此処はかつて杭州の料理屋「張生記」の香港支店であったが何かの事情で名前も内装もすっかり変わる。酔蟹など見事な料理いくつも供されるが残念なことはどの料理も塩辛すぎる。素材のよさが活きず。食後にA氏とM君とバーS。モルト酒Glenfarclasの21年ご賞味。ふと父の入院から逝去などで寿司加藤にしばらく伺っておらぬこと思い出して一人ぶらりと寄る。もう店仕舞いで日本酒のみ。ご主人と料理人N君にすっかり弔ひいただき痛飲深謝。
▼「慧峯集団」といふ会社あり。九龍新界に電力供給の「中電」はCadoorie集団で英印系であるがこの「中電」で初めて中国人で総経理となった潘國濂といふ人が引退して開設のコンサルタント会社がこの「慧峯集団」。今ひとつ存在意図わからぬ会社で02年の上場以降損益は8500萬ドルに及んだといふ。それが二月十四日にHK$0.10まで下落していた株価は昨日HK$0.99まで高騰。潘國濂はこれで一気に会社の損益挽回で2億ドルだか得たことになるそうだが何が起きたかといへばこの「慧峯集団」が「中国電力投資集団」といふ中国の国営企業と組み中国から香港に電力供給する「中港電力」設立があり30%の株保有する親会社の「慧峯集団」株が急騰。でこの潘國濂と中国の関係といふのが八十年代に中国で広東省大亜湾に巨大原子力発電所が開設され香港側からこれに参画が潘國濂。中国側は当時この電子力発電所の開発工程の主幹責任者が李鵬(後に首相)。李鵬が中国の発電事業の首領であり今回のこの中国側の投資会社である「中国電力投資集団」の副総経理だが実質的トップが李小琳。李鵬の娘。ただただ嗤ふばかり。

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