富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月四日(金)曇。朝食に「鉄人ロール」なるロールケーキ食す。貰い物で何かと思えば料理の鉄人の坂井氏だかの商品だとか。確かに美味。夕刻「無印良品」の香港代表N氏の話聞く機会あり。80年頃の無印の商品開発から無印に関ってこられたN氏に他とは異なる香港の無印の「熱さ」の話聞く。早晩にペニンスラホテルのバー。ドライマティーニ二杯。帰りがけにトイレットに寄れば用済ませた客がトイレ係の職員にチップ渡すが赤色の札一枚……100ドルとは。思わず何かおスペなサーヴィスでも?と……まさか。上客が旧正月明けの最初の来臨だったのか。スターフェリーで中環。市大会堂にて王立アジア協会の講演会あり東京大学法学部の松原健太郎助教授(東洋法政史)が支那の(同じ祠堂をもつ)氏族の所有土地について新界の氏族の族有地(Ancestral Property)の所有権、相続権及びそれの慣例が支那の例えば「清」法や、とくに香港の場合、英国法での解釈とではどのような特徴が見られるか、などについての講義。聴衆はこの協会らしい化石の如き英国老紳士淑女に混じり高名な新界土地専門の弁護士など専門家多し。松原博士の早口な英語での講義に専門用語多く門外漢の余にはわからぬ点も多し。フェリーで尖沙咀に戻り文化中心にて「小王子復仇記」“Little Prince Hamlet - an interpretive adaptation”といふ舞踏観る。香港からはダニエル楊春江君、日本からは坂本公成、それにArifwaran Shaharuddin(マレーシア)、Mugiyono Kasido(インドネシア)の4名の踊り手に韓国の張在孝といふ打楽器のパフォーマーが参画。照明にはDumb Typeの藤本隆行。正直言って小公子とハムレットを下敷にした舞踏といふコンセプトは全くわからず。群舞としては昨年十月の“Laden2004”のほうが優。だがいくつか興味深き演出あり。踊りでは楊君の卓越は言うに及ばず。所作の素晴らしさは歌舞伎でもやらせたい程で(きつと歌舞伎も観ている筈)今迄彼の舞踏はかなり観たが歌うのは初めてで京劇の女役の科を作るも佳し。小公子の演出では妖精の如き装束でピアニカ演奏してみせたがさすがこれもお見事な芸達者ぶり。Z嬢と感嘆するばかり。舞台撥ね尖沙咀の日本料理・京笹に食す。満席で小雨降るなか外に待ち客あるほどの盛況。熱燗二合。ほっけ焼。葱ぬた。それに「ここまで香港の寿司は進化したか」と驚く「ワサビ巻き」なる寿司。地元客でも此処ほど飲酒と喫煙の多い店も他になし。煙草の「吹かし」だけは煙いからご遠慮願いたいが。帰宅して日刊ベリタ董建華辞任後の後任者任期について記事書き送稿。

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