富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月七日(月)快晴。Buffet苦手。Buffetするレストランの片隅でパンケーキとフルーツの朝食。部屋の前、プールサイドで読書。読書。ハックスリー『すばらし新世界』読了。現実の廿一世紀は、と言えば、この小説の如き明らかな階級社会ではないが実質的には経済格差が目立つが、何よりこの小説が現実化している部分は市民生活でのレジャーの効用。この「リゾート」も余暇を快適に過ごさせることで労働意欲を再生産する意味でも市民の資力を観光という産業に還元させるためにも重要な装置。ハックスリーが明治でいへば廿七年生れで、この小説書かれたのが昭和七年とはあらためて驚くばかり。昼はリゾート食に食傷気味でホテルの売店で購入の韓国激辛カップラーメン。午後はまたプールサイドの木陰で立川末広氏の二冊読む。八十年代に『優駿』などに連載された随筆集めた『競馬は純愛小説である』は落語の話に感けた競馬話の妙。「芝浜」など実に見事。昨年入手した新刊が91年の二刷であるからあまり読まれていないのだろうが文庫本化するなどしてもっと読まれてよい随筆集。随筆家といては東海林さだおや日経の東京農大小泉武夫教授のような面白さ。『イギリスぱかぱか単独紀行』は『ハロン』にかつて連載された英国の地方競馬紀行。これも面白い。面白いから休まずに読み続けかなり日焼け。日暮れで恰度読了。数回の英国旅行で立川氏が英国通、旅行通になってゆく。セブ空港の免税で入手したMartiniの発泡葡萄酒を日暮れに浜辺で飲む。初めて目にしたがDolceと表示にもあり甘いことは覚悟したがやっぱり。晩は一通りどのレストランも訪れてしまひ浜辺で豚の丸焼きなどのフィリピン料理のBuffetありBuffet苦手がそこで食す。韓国人とんでもなく多し。韓国も旧正月の大型連休か、と納得。Buffet苦手な上に大の苦手の「現地民の伝統舞踊」始まる。インドネシア、タイから台湾の原住民までみんな同じバンブーダンスはいったい何処が発祥の地か。観光客を参加させたのは何処か、といふこと源流訪ねるとテレビ番組一本できるかも。舞台で踊る少年少女ら眺めフィリピンといへば中上健次が八十年代にマニラでポン引きに案内させ歌舞音曲に勤しむマニラの謂わば「路地」の少年たちを取材していた話を思い出す。何を見て何を感じていたのか。日本ですでに八十年代にはすでに中上健次の物語に登場するような若衆おわずマニラでそれを見ていたのだろうか。舞台は続くがやはりどうしてもこのテの演芸見て楽しむのが苦手で退散。部屋に戻りNHKで雀蜂の巣作りの秘密など見る。吉永良正複雑系とは何か』(講談社新書)読み始める。

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