富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月十二日(水)曇。もう五、六年だか白黒写真の現像依頼の中環のColorsix先日訪れれば形跡もなき内装工事現場と化し移転先の掲示もなし。仕方なくスタンレー街向かいのそれなりに繁盛の現像屋に現像と焼付け頼む。写真受取れば焼付け曖昧にてColorsixいかに優れていたかと今更ながら思い知る。電話で探せば数軒隣りに移転。諸事に忙殺される日続く。
董建華八度目かの施政方針演説。先月のマカオ返還五周年での胡錦涛国家主席からの叱咤受けてのこの方針演説は自らの「査找不足」認め香港返還以降のバブル経済崩壊だの財政赤字にて十分な思考準備とこれに対応する経験不足認める。だが己の過去の過ち認めただけで引責辞任するほどの思考力もなく残り二年半の任期完ふと宣ふ。不幸。
▼巨万の富にて今では香港の環境破壊に走る李嘉誠の次男リチャード李澤楷、今年に入り姿見せず先月末の印度洋津波の頃より「失踪」噂されたがモルジブ沖での遊艇の事実認め津波被害には遭わず北京だの紐育など外遊続いたため香港不在と述べる。父が二百名派遣して愛息の行方探させたとか香港政府は現地での公的な香港市民の捜索とは別に香港財政界要人及び家族の安否確認と安全確保のため百の単位で捜査員派遣といふ噂もあり。
▼東京葛飾にて共産党のビラ配りにマンション「侵入」の男、住人に「取り押さえ」られ警察が二十日間にわたり身柄拘束し地検住居侵入罪で起訴。地検曰くビラの内容は身柄拘束や起訴に関係非ず。だが警察の拘留は「証拠隠滅」(笑)の恐れだそうで明らかに警察と検察の認識同じで危険思想政党取締り。幼き頃に「当時の」教義教派の共産党の時代ですら戦前の無産運動から活躍の老市議が古城の再建運動に取り組み共産党の県党代表の妻は地元の公立小にて立派な先生と皆に慕われたもの。祖母も戦前ですら東京の下町にて近所の「アカ」の運動家をば町内で何かと匿ったといふ。それが「今どき」の共産党でこの過敏対応とは恐ろしきかぎり。
▼対応過敏といへば01年のNHKにて慰安婦制度の責任者摘発く民衆法廷扱った番組につき自民党の若造・阿倍二世(岸三世とも云ふ)と中川二世、放送前日にNHKの幹部呼びつけ番組内容の偏向指摘し圧力かけNHKそれに応じて番組内容改め放映と朝日新聞の報道。慰安婦など実際には知らぬこの戦後世代の過剰反応。恐ろしきかぎり。結局は彼ら何をば恐れるかといへば戦争の頃のことなど自分には拘りなき事、に非ず。市井の者なら祖父だの父の世代の歴史否定的に扱われることにて直接の利害もなきところ二世、三世の代議士にとって代議士となれたは先考の行徳あつてのこと、その先考の活躍の時代否定的に見られては己の存在のアイデンティティにすら瑕がつくか。国を愛する心などと宣われても所詮、個々の所思だの利害あってのこと。