富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月廿六日(日)晴。ボクシングデー。毎年この日恒例のピーク湾仔ギャップでのボクシングデーランあり参加(主催は香港レディースランナーズ倶楽部)。山頂のキャメロン山の周囲を上り下りしつつぐるりと回る4キロ。クリスマスにひっかけた行事で毎年サンタクロースやかなり奇抜な仮装もあり。余は会場着いてから作務衣でも着て数珠もって走ればよかったと後悔。終わってZ嬢と湾仔ギャップロード下り湾仔。湾仔道の石崗カレー餐庁に行くが昼前でまだ開店しておらず李景粥品専家(灣仔道146号)。金牌超級艇王粥はHK$88と値段も抜群だが二人前の量あり。白身魚、あばら肉、豚のレバー、ミノ、ハツ、心臓、ミンチ肉丸と魚球、貝柱など「これでもか」の具盛り沢山。帰宅して昨年は中山競馬場で観戦の有馬記念の中継見る。凱旋門賞での名誉挽回とタップダンスシチーがレース見事に引っ張り一番人気ゼンノロブロイ最後の直線で差して一着。二着にタップダンスシチー。この二頭で有馬記念終わる。晩に今朝のレースでもお会いしたK氏とT氏夫妻来宅。K氏ヴァランタインの30年物持参されワインは年越してまで飲みたくないボジョレヌヴォーと更に二本抜栓するが気持ちはヴァランタイン30年に向いてしまふ。Z嬢の手料理。このウイスキーやっぱり最高のブレンド酒だと実感。余の酒棚にあった同じヴァランタインの17年、21年の二本と飲み比べ。食事でもイケる17年と一人で飲むには勿体ないほど十分な21年、そのいずれも立派な酒だが円やかさではやはり30年が格別。当たり前。三十年もずっとこの日に飲まれるのを待っていたと思ふと感慨深いものありすーっと飲み干す。テレビもラジオもネットも見ておらず晩遅くスマトラ沖の地震津波のことを知人からの電話で知る。
▼朝日の書評欄「マガジンウォッチ」で亀和田武が『わーずわーす』を「アジアはそんなに甘くない」と酷評。酷評とはこういうのを言うのだろうというほど酷評。Sixsensesのタイのホアヒンのスパリゾート紹介したがために精神世界と「国際リゾート資本」との癒着!指摘され、この雑誌の掲げるアジアはビジネスの的でバブル起業家的発想、と。勿論アジアの現実は厳しく上っ面だけでは理解できぬが、わかった上でやはりリゾートも行きたく多少の贅沢もしたく、が余もホンネ。それとは直接関係ないが、このコラムの上段で紹介された江澤博己『接客サービスの達人』で、著者の紹介する接客の極意には例えば雨の日の傘があり、使い捨てに近いビニール傘ではなく折り畳み傘を客にお貸しするのだろうな。すると折り畳み傘ならまた店に立ち寄ってくれるかもしれない、という、一瞬心配りのようだが、レストラン出て傘が欲しいような雨はいたってにわか雨か豪雨であって傘を折り畳む暇もなく家路に着く。すると借りた折り畳み傘は温情を越えて「また店に来いよ」といふ命令のアイコンと化す。これはサービスでなくビジネス。

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