富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月八日(水)曇。昨晩読んでいた中上健次の文章に「カーステレオ」で聴く「カリブ海ジャマイカの音楽だといふレゲエ」の話あり。歌手はボブ・マリーという「若い青年」なのだが、中上健次が尾鷲から矢ノ川峠越えて「日本的自然が一層深く人びとの身体に入り込んでいる」こと感じる場所で「レゲエは呪文だった」と突然、レゲエについて語り始める。
レゲエは呪文だった。カリブがカリブである事、プエルトリコプエルトリコである事、ジャマイカがジャマイカであること事以外には、音は希薄化される。歌の力は薄められる。レゲエは、強い。だが、ここはカリブではない。まだ海は熊野灘である。夜目に眠っている海は、人をひとたまりに呑み込むことは可能である。雨の多いここで自然が樹木に作用し、良質の檜材を産出させると、製材所のにおいをかぎながら思い、自然の中心、自然の核をさぐりあてたいとあらためて思った。尾鷲のこの製材所で挽かれる一本の材木を考え、解き明かすことは、『資本論』を私が書き上げる事と同じである。私はその自分の直感に、呻く。私には何一つ鮮明に視えない。レゲエはひびく。
レゲエ聴いて一服していたのだろうか、きっと檜の木の香がとてもよかったのだろう。晩のハッピーバレーの競馬。中国金牌選手らの来場にてR1で余が巫山戯て注目の「華心寶」はオッズ23倍だかで三着に入り複勝で7.3倍とやはり注目の価値あり。但し次レースで「亜州之星」はそう簡単に続かず。R5が中国奥運金牌英雄盃でレース前に金メダル選手らパドックに現れるがオリンピックの晴れの場では凛々しき選手らも同じ競技場でも競馬場ではパドックで競走馬見て口あんぐりで而もお揃いのジャージ姿では単なる田舎漢、土郷の娘の如し。R7(クラス3芝1200m)で一着の五五波(Fifty Fifty)七戦四冠二亜一季〇負は今年注目すべき四歳馬。今季序盤でもあるしオッズも見ずに調教具合だけに絞った結果そこそこの結果得る。
▼南Y島の住人のインターネット利用でソニー資本のプロバイダ“So-net”よりネット接続料としてHK$11,592の請求書届く。明細みれば月額HK$278で1970年にまで遡る請求(笑)。単なる技術的ミスらしいが70年といふのはネット黎明期、まだネット研究者間での簡単なテキストメッセージの交換だの米軍での情報中枢破壊攻撃に抗ずるために情報の共有化としてのネット、情報伝達手段としてメールのまさに軍事利用が研究し始った時期。さすがにソニーでも民間へのプロバイダ事業はしておらず、と笑われる。

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