富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月七日(火)この南洋特有の、といいつつかつては赤道付近で発生すること多きHazeが年追ふ毎に香港でもHazyな日が増え始め今では夏それが当たり前のこととなる。自然現象のHazeに地球の温暖化や大気汚染など光化学スモッグ的な要素も絡まり事は深刻。すでに台湾でもHazeが多く沖縄いずれは九州と拡散する気配もあり(余の憶測にすぎぬが)。で何せ日本では平安時代にでもHazeな気候あらば美しき和語もあろうがもともと日本になき気候現象ゆへ端的な表現なし。辞書引けば「もや」だの「きり」だが実際にこのHaze見れば靄だの霧と呼べず。巧く「ヘイズ」に合う語でもあらば語呂合わせ出来るが「塀図」では建築設計の如し。意味でいへば朦朧とした霧で「朦霧」で「もーむ」と読ませるか。南洋で文豪サマセット=モームに掛けていたりもする。素直に「ヘイズ」と読めばいいぢゃないか、といふ気もするが「ヘイズ」ぢゃ日本語ぢゃ音が悪く「屁不出」で屁モ出ズ。で今後「朦霧」と呼ぶこととする。ここ十日ほど疲労感倦怠感解消されず掛かり付けのC医師はインフルエンザの初期症状でないかと診断され服薬したが一向に癒らず日曜日に針山の登りでこれまでになき疲労感あり微熱もないが手足の悪寒だの老人特有の症状あり。養和病院で外来の診断受けるが医師も風邪でもないし兎に角、と血液検査せば肝炎だの血液の異常もなし。全身検査、所謂「人間ドック」(←感性なき嫌な言い回し)受けるよう勧められる。病院の帰りに乗合バスで大坑道抜ければ乗客が皆、車窓から眺めるは何かと思えば香港大球場にて今晩は中国の金メダリストら出演の一大祝賀イベント。帰宅してテレビつければ4チャンネルのうち広東語の2チャンネルは生中継。いきなり人民解放軍の陸海空三軍の兵士らの行進で始り国旗掲揚。軍。何故だ? スポーツ。そうか。歓声。国威発揚。最高。週末は立法会選挙……このままこの感動綴れば『踊る地平線』の谷譲次の気分。でこの祝賀企画は何をするかといふと金メダリストが歌う(笑)。筆頭は卓球の男子ダブルスで決勝戦争った中国と香港の金銀四名が一緒に「真心英雄」なる歌を広東語で歌ふことから始る。各種スポーツでは世界一かも知れぬが懸命に歌ふも歌の音程も本人らの音域に合せておらず而も慣れぬ広東語で可哀想に。で地場の芸人が歌ってまた金メダリストが歌って「オリンピックではプレッシャーはありませんでした。中国のそして香港の皆さんが応援してくれていると思うと不思議に……」とか「中国人」「中国魂」といふ言葉が幾度も語られる。司会も高揚してMCは「香港にこんなに沢山の金メダリストが集まるのは初めてのこと」と、そりゃ当然。ちなみに明晩は今季のハッピーバレーの初競馬。第1レースは取って付けたように「中国奥運金牌英雄盃」といふ冠レース。金メダリストが競馬場に来臨。このレースどうでもいいクラス4の芝のマイル競走。ドゥルーズ騎乗のMagic Touchに期待したいが昨季初戦以来六戦六負の「華心寶」なる馬、中華の心の宝といふ名前が「いかにも」で験を担いで、これか。第2レースは「亜州之星」とか。日本は台風18号来襲。台風の強風吹き荒れる市街に人が風で飛ばされそうになりながらも女子高生など「いやーん」といふ笑顔で走り抜け水に車体浸かった自動車が何台も走りバスも運行されているを見れば香港ならカンペキに8号警報発令で数時間前から市街に人影もなくホームレスすらシェルターが開放され静まりかえる防災体制からするとかなり不可思議な光景なり。ところでNHKの音芸での不正経理問題にNHK内部の調査結果発表。経営「御用」委員会の代表は「今後こういった事態を招かないよう海老沢会長を中心に……」などと述べるが会長海老沢君が引責辞職すべき。かつて島ゲジが会長の頃、政治部記者上がりの島ゲジ登用が最悪人事と揶揄されたが今となって思えば現会長よりはマシ。鮫脳の森君が最悪と思われ今になれば「クラゲの脳味噌」よりまだマシ、と同じことか。世の中どこまでよりひどくなるものか。服薬し早寝。

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