富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月廿二日(日)小雨のなか地下鉄で坑口。トレイル練習にて余の他に党員三名及びK氏とK氏の会社の参加者四名参加。ミニバスで西貢、西貢より西沙路へ行く筈がバス乗り間違え北譚涌より黄石波戸場行きの郊外バスに乗っており慌てて途中下車してタクシーで西沙路に戻る。午前九時歩き始め。晴れ間見え雨の不安もないかと思いきや一山越えて黄竹洋の村近くより馬鞍山に登ろうとした頃から大雨となり山道も泥濘るどころか踝まで水につかるほどの流水あり避難か引き返しも考慮すべきところ雷鳴らぬかぎりは歩行継続と結局、馬鞍山の尾根(海抜六百米)歩き大金鐘(写真)を巻いて昴平に出るまで大雨続く。そこから小雨となりなかなか幻想的なる霧に包まれた山々を愛でつ大老山を越えて慈雲山の峠の茶屋・恒益商店(写真)に至る。午後一時半。距離は十六、七キロながら馬鞍山の登りあり而も悪天候を思えば四時間半は上出来か。麦酒浴びるように飲み名物のカレー食し慈雲山の団地まで下りバスに揺られ帰宅。甲子園の高校野球決勝。八回裏。このまま見ていると確実に試合終了した時に思わず感涙の気配ありテレビ中継見ずに近所に葡萄酒買い出し。雅典五輪もNHKのアナウンサーが「今晩は期待される種目が続きます。日本全国がテレビに釘付けですね」と、その一言に見る気失せる。ニュースでは本日この大雨のなか灣仔にて親中系の企業だかが(選挙と関係なきこと祷るばかり)水晶でできた麻雀牌の無料プレゼント企画し三千人だかが怒濤の如く押し寄せ大混乱で怪我人すら出る始末。恐ろしや。晩にアサリのパスタ。白葡萄酒は豪州のJacob's CreekのRieslingの02年。つい『新撰組!』見る。土方歳三役の山本君は昨晩関容子の本で知ったが(芸能常識なのかもしれぬが)新之助十三歳の日生劇場“Stand By Me”で新之助ダブルキャストで主演のクリス役の少年だったとか。新之助は山本の動きと台詞の巧みさに舌を巻き、山本は台詞も口でモゴモゴの新之助がなぜ観衆の心あそこまでつかむのかに感嘆と。それにしても土方歳三が「うるせーんだよ、テメーら。一緒に腹割きてーんか」とか、まぁ当時の勢いをば今の若者言葉にせばこの通りなのしれぬが、時代劇から雅典五輪まで若者言葉の流行に余はついていけず。香取君の近藤勇だが余にはやはり香取君の「ニン」ぢゃく、香取君が忍者ハットリ君演じるとやはりニンあり。フルニエのチェロ聴く。深夜NHK教育にて放送の先代の松緑(先代の松緑といった場合、正確には三代目松緑の名を亡くなって追贈された先代の辰之助のことになるのか……よくわからぬがこの場合は二代目)の「象引」のビデオ録画、実家の母に依頼する。関容子の『海老蔵……』も読んでおらぬがといふので他のいくつかの本と一緒に郵送することにする。
▼昨晩寝付かれず関容子『海老蔵そして團十郎』読了。七月廿六、七日の日剰に築地H君、久が原のT君よりのメールの詳細あり復た語る必要もなかろうが新之助が十三歳の時に日生劇場での『スタンド・バイ・ミー』でダブルキャストにて主人公演じたのが『新撰組!』の土方歳三役の山本耕史新之助は山本の動きと台詞の上手さに、山本や山本で新之助を「どうしてあんなに台詞がモヤモヤしているのにぼくより心が届くんだろう」とお互い感嘆した、といふ逸話。この本、関容子らしい「まとまり」の無さで、一瞬、ちょっとの流し読みの読み物のようでいて、じつは深読みすると團十郎新之助勘九郎らのちょっとしたコメントに実にいろいろありそう。ついついじっくりと読む。これはもともと『オール読物』誌の連載で、じつは『オール読物』の連載だから許される程度の著者相手の軽い雑談のようなコメント多し。それゆへいざ文藝春秋から新刊として上梓となると「ここまで言っていいのか」とか実際にどこまで事実なのか、だの気になるところ。たとえば『銀座百店』だから、登場する文士らが気軽に語る内容あり、それぢゃそれを新刊にして面白いのか、いいのか、となると疑問もあり。『銀座百店』で、その当時、その空気のなかでライブで読めた人だけが読める特典といふ世界だからこそ、の良さ。
▼本日、中国の特色ある資本主義ぢゃなかった社会主義のの領袖・登β小平の生誕百周年。北京での祝賀式典の画像観る。Coquinteau国家主席といい温家寶首相といいおすぎとピーコぢゃないが「ちょっとあのネクタイ、ダメだわ、ぜんぜん背広とちぐはぐぢゃないのよっ!」と罵声浴びせたくなるセンスの悪さ。大国の首相として背広とネクタイのコーディネートも大切なはず。香港でも登β小平生誕百年の記念切手発売とか。御真影、消印など汚していいのだろうか。

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