富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台湾一周の旅2日目台中から埔里へ

八月八日(日)台北快晴。ホテルより連絡巴士でMRT圓山站。MRTで台北火車站。九時発の特急・自強1011号にて「台湾の名古屋」(笑)台中に向ふ。新竹まで延々と続く線路沿いの市街地に台湾の経済力見る。西部幹線走る列車は海線と分れ山線に入り山越といくつかの隧道潜り豊原経て11:15到着の予定が台中手前で上線での故障車あり三十分近く遅れ11:45台中着。香港より故郷台中に帰省中のY姐の出迎え受ければ妹の運転する車がBMWの黒塗の7……聞けば妹夫婦で宅地開発会社経営だそうで成程。台中の駅は日本統治時代の建物。駅前からの旧市街の商店街は周辺の新興地区に比べ「開発」遅れ閑散。Y姐のマンション訪れご主人にご挨拶。Z嬢ウイグル産の白色石の菩薩蔵のペンダント頂く。昼食にと誘われ台中の新興開発区にある新光三越百貨近くの僑園大飯店といふ料理屋。Y氏妹のご主人と新竹の交通大学にて電子工学学ぶといふ息子君待っており会食。海鮮を主に刺身から鮫鰭、伊勢海老までかなりあっさりと所謂新感覚派料理。義弟氏の用意した葡萄酒はGrand CruでChateau di Padadisの93年とLa Croix di Crasseだとかの92年で葡萄酒音痴の余も美味いと唸るばかり。かなり食通の義弟氏にドリアンは好きか?と尋ねられ勿論と答えるとドリアンをば微塵切りの里芋で揚げたデザート供される。義弟氏曰くドリアンは刺身も美味いと。余は六、七年前に突然ドリアンの味覚に目ざめ而も山葵醤油でドリアン食す刺身をばこれは美味いと発案したが誰の賛同も得られずにいたが義弟氏がドリアンの刺身に言及し始めて同趣の人得る。夕方台中より巴士に乗り山に入り台湾島のほぼ中央、山間の盆地にある埔里に至る。名水の地で台湾の紹興酒の名産地。米40km、一時間余で粉もこの埔里の名物。紹興酒のほか何といふ産業もない場所ながら霧社や日月潭といった台湾の山間の各地結ぶ交通の要所にてそこそこの賑わい。市街一の規模の鎮寶大飯店といふホテルに投宿。晩に市街歩けばぼんやりと明るい繁華街。軒に出した籐椅子に坐り街をそぞろ歩く夕涼みの人多し。日本もかつて夏の宵はかの如し。夜市にはかなりの数の屋台あり(写真)様様な味覚に舌鼓打つ衆多し。甘味店にてかき氷など頬張る家族連れなど見れば余も幼き頃に商売終った両親に連れられ銭湯の帰り、こうした晩宵の繁華街の路地裏、芸者上がりの女将の業む梅園などといふ粋な甘味屋で夏はかき氷など食した昔を髣髴。そうした生活味の残る台湾に憬れ。胡國雄古早麺なる埔里にて馳名の老舗にて切仔麺、切仔米粉と魯肉飯食す。二更に弱い地震あり。香港暮しで自身に慣れぬ身にはかなり驚く。
▼先日の新聞。香港尖沙咀の日式料理屋「ひびき」が店に東郷平八郎君の漢詩だかを店に飾り観光協会が何人かの旅行者がそれに不快感感じたと懸念表明し或る新聞が一面トップでそれを取り上げる。店は新聞報道ですぐさま東郷平八郎大日本帝国の運命は来たる一戦にあり、といった文句のこの額、この店の香港人経営者が他の額と一緒に日本で蚤の市で購ったもの、を外したそうな。日本の大陸侵掠に関する歴史認識はあるが店がとくに意図なく掲げた額一つで観光協会が懸念表明し新聞が躁ぐことに経営者も疑問の念。

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