富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月廿二日(土)曇。中国にて「統一法」制定に向け香港並びにマカオでも適用と。特区での独立した法体系といふ基本法の規定も「国家」のまえでは意味もなし。日刊ベリタに送稿(記事はこちら)。昨秋巴里のボンマルシュ百貨店にて購ひしTumi社の鞄のジッパー部分に不具合生じ香港にてTumi製品取扱ふLane Crawford百貨店に電話せば香港以外に手購入のものでも無料修理に応じると回答あり尖沙咀の同百貨店に持参し修理依頼。昼よりジムにて鍛錬。毎週のことながら九龍で薮用済ませ香港島に戻るのに初めて美孚よりKCR西鉄に乗れば美孚は西鉄MTR(地下鉄)との乗換えの主要駅でありながら閑散凄まじ。駅のコンコースは必要以上の広さ有し(写真)茘枝角公園見渡すバブリーな豪華さ。公園の向うに見える大型マンションがかつての故アニタ・ムイ嬢幼き頃に歌ったといふ茘園遊園地の跡地。懐かしき。駅のホームには土曜夕方というのに余を含め僅か四名の客のみ(写真)。永久的に収益など出まい。たかだか日に数万の客を搬ぶのに投資資金過剰。香港島に戻り中環の三聯書店。Lonely Planet社の旅行案内本中国版購ふ。四月にダイヤ全面改定となった中国鉄道部全国鉄路旅客列車時刻表も購ふ。数年前まで余が二十年前に中国を旅した頃と殆ど変らぬダイヤであったものが今回の全面改定では確かに大きな改善あり驚くばかり。Z嬢とFCCで待ち合せ早めの晩餐。ドライマティーニ二杯、秀逸なるブルー乾酪のソースで野菜サラダ、海南鶏飯、アップルパイと伊太利珈琲。BBCのニュースにて小泉三世の訪朝、北朝鮮拉致被害者の家族帰国の映像見る。夜遅くネットで見たら拉致でまだ不明の十名の被害者の家族から再調査といふ結果に「解決能力がないなら次の政権トップにやってもらうしかない」と小泉三世更迭かといふ声あり。首相すら据え変えも可能か。いっそのこと蓮池透氏首班内閣とか。食事済ませスターフェリーで尖沙咀。香港文化中心にて実に十四年ぶりかで香港管弦楽団の公演聴く。香港管弦楽団その立直しに音楽監督としてエド=デ=ワールト君招聘。世界の一流オケへの仲間入り目指し北京、上海のオケに負けじと勝負に出た感あり。今晩はワールト君の香港フィルの初演。Charles Ivesの“The Unanswered Question”なる小曲で幕開け、Andreas Haefligerなるスイスのピアニスト参えシューマンのピアノ協奏曲イ短調。「いい意味でなく」あっさりがこのオケらしさかこの曲では面白みなし。今晩の主演奏はブラームス交響曲1番。ワールト君の香港フィル初演で無難な選曲だろうが、やはり4楽章で「ここぞ」といふ時に「唸り」の歌うが如きハーモニー、音量も出ずまだ力不足。弦楽器、殊に第一バイオリンが主旋律で弱さあり。今晩は未だワールト君就任でのご祝儀公演といふ雰囲気。これだけそつなく演奏できればワールト君での今後の発展に少し期待もつ。七月からワールト君の下かなり精力的な公演が1年続く予定にてどれだけ香港フィルに個性が育まれるか。本日午後沙田にて競馬あり。7RのTHE QUEEN'S SILVER JUBILEE CUPに電子麒麟(Electronic Unicorn)参戦。先日のQE II CUPの日に挙われたTHE CHAIRMAN'S SPRINT PRIZEに1年ぶりで参戦、不調といふ周囲の予想覆し3位入賞しその実力にあらためて敬服したが今日は一番人気で見事に一着。余はまだ復調信じられず同じSize厩舎の風雲小子にしたがこちらが二着で連複はがちがちのHK$27の配当。それにしても電子麒麟をここまで見事に復調させたSize調教師はお見事。香港競馬の名物男・譚さん(日剰〇三年四月廿七日に写真掲載あり)は先日の電子麒麟の三着に嬉しくも一着でなければお揃いの勝負服を見せられず暑いなかジャンパー脱げず不愉快そうだったが今日はさぞやご満悦であろう。今日も競馬新聞見る余裕もなく慌てて最終4レースのみ購入したが最終レースでWhyte騎手の五穀豊収を当て前述の電子麒麟と風雲小子の連複とで収益あり、でもレースも見れず予想すらきちんとせずで余り嬉しからず。
▼昨日皇居紅葉山の養蚕所にて皇后陛下御自ら繭つくる場=蔟(まぶし)に蚕移す上蔟の作業なされる。成長した蚕をば畏れ多くも皇后樣お手に取り藁で手作りされた蔟の中に蚕置く作業にて明治期に昭憲皇太后始められ以後歴代皇后に受繼がれてゐる、とあり。當然のことながら明治期に養蚕がわが國の重要なる基幹作業となり養蚕をば宮中にて行事に取入れたことも成る程と合點。わが國の養蚕の傳統守る行事にて重要なのか、ふと氣になるは皇太子妃殿下雅子樣のこと。ゆくゆくは雅子樣も皇后樣としてこの上蔟をばなされるのかもしれぬが、上蔟は妃殿下ご本人の穎才とは一切係りなきことゝ思へば妃殿下の教養と智識、語學の才をば要す聖職であるはずの外交と比べれば、いづれが妃殿下ご本人にとつて成すに値することか、野鄙なる言ひ方すればご本人の滿足感ある「やり甲斐」のあることかと思へば、答へは明白。それを敢て制限されかうした皇室の傳統行事への從事をば強いられては妃殿下御心勞多きことも察するに易し。

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