富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月五日(水)雨。立夏新暦にて「日本だけ」端午節。Z嬢の計らいでBaccaratの水晶のスヌーピーも兜冠(写真)。源吉兆庵の柏餅賞味。新暦で農暦の節句祝ふは「近代」日本の錯誤だが柏餅は「日本の端午節」の祝餅。香港の旧暦で食すのは粽(ちまき)にて柏餅を頬張ろうと思うと新暦五月五日。Happy Valleyの競馬テレビ中継にて観戦。なんとなく的中。芸術新潮三月号読む。特集は「おとなのためのディック・ブルーナ入門」。ペーパーバック本ブラックベアの一連の意匠秀逸。ブルーナ翁の和蘭陀はユトレヒトでの生活。ブルーナに続いて檀一雄の福岡は能古島の家。これもいい。また赤瀬川原平山下裕二が鉄斎について対談。山下君ですら「鉄斎はどうも苦手で(美術館でも)通り過ぎていた」「近づきがたいバリヤー」と語り赤瀬川君も鉄斎を相田みつをに近いものがある、と。余にとっては「こわいもの見たさ」だが松山のS君に贈られた鉄斎の本を見てもまだまだ余の修養足りず。遅晩に荷風先生の日剰昭和十四年三月から五月読む。
▼昨日の政府立法会にて昨年の政府の愚挙、HK$1億(10数億円)公金拠出してのHabour Fest開催につき公聴会あり。SARS対策基金よりの捻出金で僅か百日余の準備期間にてローリングストーンズ、プリンスなどの公演開催は全く以て意味なし。これについて財務司長・唐英年君このフェスティバル開催の誤算認めつつ「我々は経験から多くのことを学ぶ」と宣ふ。唖然。経験から学ぶのは幼児の昆虫虐めや少年の非行からでありクレジットカードの負債だの浮気バレてのこと。公金をば10数億もかけて当初から意味なきこと明白な興業開催終えての言にこれは赦されまじ。何為に責任ある地位に厚遇の高官を据えるか。こういった愚策せぬが為なり。それを幼児の如く「経験より学ぶ」では愚人をば高官に不要。そもそもこの責任ある地位にある者の罪と謝罪は米国前大統領クリントン君の在任当時の白宮での某嬢との情事口交の醜聞につきク君国民に向けて謝罪彷彿。だが米国の元首として口交在白宮に道義的責任もあろうが、個人の性的嗜好といへばそれ迄。だが公的なる政治上の判断での誤算は厳しく弾劾されるべき。10数億円かけて経験学ばては困ったもの。その政府に対する甘さに対して昨日は自宅屋上にて個人の嗜好用に大麻艸39株栽培していた兄弟逮捕。これが断罪され10億円の浪費が許容される社会に矛盾あり。
余丁町散人の隠居小屋といふサイトあり。余はボオドレヱルの詩“Le Mort joyeux”の荷風先生による『珊瑚集』での和訳「死のよろこび」を山崎俊夫の文章で読み、この原詩と訳詞を並べ読みたく探ればこのサイトに遇す。風流なる隠居暮らし楽しむこのサイト氏の日記も興趣あり。そこで五月三日健保記念日の記載あり引用せば
今日は憲法記念日。今や国民の過半数憲法を改正すべきだと考えているようで(日経4月世論調査)、今朝の日経社説も「憲法改正の機は熟しつつある」というもの。たしかに文章がおかしな憲法ではある。前文が長ったらしいのは特にカッコウが悪い。でも冷静に解釈すれば特に不都合がある部分があるとは思えない。解釈をきちんとすれば何ら支障はない内容である。また借金や連帯保証を頼まれた時に断る際によく使われる「それは親父の遺言でダメなんだ」という口実のような便利な使い方もできる。
と。含蓄あり。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/