富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月十五日(木)曇。いいねぇ志ん朝iPodってぇ薬籠みてぇな大きさでさ、それで何千って音曲聞ける電子機器ってぇのかね、それがあってさ、音曲ばかりぢゃつまらねぇってんで落語、これだよ、やっぱしね、江戸っ子なら粋に落語でも聞いてやろーってんで志ん朝師匠のさ、ほんと惜しい噺家なくしたよね、馬生師匠は若けぇ頃からあの酒好きだ、菊正いつも美味そうに飲んでたけどね、志ん朝だろ、志ん生くらい長生きしていい話聞かせてくれるってこっちとら期待してたのに、まったくなんてこったい。師匠が亡くなったあとだね、雑誌で師匠最後の住吉踊りの写真見てね、なんてぇ気迫だい、いやぁ言葉ぢゃ言えないよ。師匠の踊りも高座も見たかったねぇ……おっと話がなんか師匠の追悼になっちまったよ、湿っぽい話はいけねぇや、噺家だ、笑わしてくれるのが生業だ、亡くなってもこうして師匠の話をさ、そのiPodとかってので聞けるってんだから、世の中、進歩したもんだ。それでね、何枚だか師匠の落語のCD調達してね、聞いたみたら手前ぇ危なくってしょうがねぇ、音曲ならさ、そこいら歩きながら聞き流しってぇのかね、オツなもんだ、新内流しってのもあるしさ、それが落語はいけねぇや、ついつい聞き惚れちまうんだな、車の往来も赤信号も忘れちまう、危なくってしょうがねぇや、それで呼んだ車に乗った時とかね、聞くだけにしたら、今度は運転手から見たらこっちがニヤニヤしてるんでこれもまた気持ち悪くてしょうがねぇ、まったく困ったもんだが、最初に聴いたのが酢豆腐、この話なんか今どきならチーズと葡萄酒なんかにしてねこぶ平あたりにやらしても面白れぇだろうな、それに続けて鰻の幇間だ、幇間なんて言っても今の若い人にはわからねぇでそうが芸者遊びの太鼓持ちってやつだな。今日はちょいと用事があってね、連日の映画見物もできねぇってんんで憂さ晴しにiPodで落語道楽よ。家に帰ったってまだ聴きたい、ってぇんで、お酒なんぞ用意してね、志ん朝の落語だ、ちょいと気張ってBowmoreなんてスコッチのモルトってぇんかい、それをバカラのグラスだよ、で風呂まで沸かしてさ、柚湯なんぞにして、風呂につかって今度は「お見立て」だ。郭の粋な話だよ、この話、花魁喜瀬川が大和屋、お大尽の杢兵衛に勘九郎、若衆の喜助にそうだねぇほんとなら松島屋、若い頃の孝夫ってぇわけにもいかねぇか、今ならさしずめ三津五郎あたりがこの道化役やったら面白れぇだろうな、そんな舞台の芝居にしてもいいんじゃねぇか、なんて想像してさ、そんな場面が目のこのへんに思い浮かぶのも志ん朝師匠の話だからってぇのは言うには及ばねぇ、それくれぇ志ん朝はいい、ってこっとよ。いい話聴いてさ、風呂につかって酒飲んで、いやぁ幸せだねぇ。
イラクの日本人人質三名解放。NHKのニュース見ていたZ嬢指摘するにタカトーさん父の「強い」コメントあり最初流れたがその後他の家族のコメント何度か再映されたもののこのタカトー父のみ放映なし、と。週刊新潮共産党一家(笑)と揶揄されし今井君父もこれを教訓に今後も「社会のために貢献」と、これもまた革新気取りと言われるも必至。川口外相の記者会見、対「ゲリラ」との交渉につき内容公表できぬ点多かろうこと理解できるが人質解放が誰から大使館に連絡あったか?といふ記者の質問に一瞬黙って「イラクの人です」と。そりゃイラクの人だ。どうもこの「ナントカの人」と聞くと「函館の女(ひと)」とか演歌の曲名に聞こえてしまふは我だけか。人質は画面では健康状態も悪くなさそうだが当然大事をとって「メディカルチェック」とのこと。だが最もメディカルチェック必要なるはNHKの特派員・出川氏。中継中もふらふらと、最近は視線も定まらぬ疲労感。イラクでの最大の人質は出川氏なり。
李嘉誠財閥の高級リゾート型マンションの貝沙湾。Z嬢がチラシみて何に驚いたかといへば此処の住人となると香港在住のバイオリン奏者西崎崇子様(三月初三日の日剰参考)による子供らの為のバイオリン教室あり、と。すごすぎ(笑)。

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