富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月十三日(土)曇。一旦起きて朝食に麺包食しまた転た寝『噂の真相』休刊号読む。読了。やはり休刊ご祝儀号の感あり。但し連載陣は総括的にいい文章多いが(筒井康隆除く)大槻義彦教授が「反オカルト論」などインチキなオカルトだの超自然現象など相手になぜ対抗したかといへばオカルトぢたいでなくオカルト的なるものに瞞されてファッショになる社会への警戒、と総括で述べる。戦前の軍国主義とて国家神道といふ宗教カルトが基盤、ブッシュの神の国観念、ブッシュ支援する福音派など。教祖様一人の意思により信仰だけならいいが政治が決断されることへの警戒。そのオカルト政治への危惧、と大槻先生。御意。休刊で中森明夫田中康夫『東京ペログリ日記』など読めなくなるのは残念であるがペログリ日記は『週刊SPA』にて継続とのことだが読んだことない週刊SPAをネット上で見出しみたがどう見ても興味なき記事多く扶桑社の利益に供与することも願わずペログリ日記ぢたい長野県知事就任までは昭和平成の日記文学としてその自由闊達ぶりに荷風先生に匹敵しようかとも感じ入っていたが県知事就任以降は当然、PGやTS、ONといった記載もなくなり県知事としての権威目立つ。これを機に読めずともよろしかろう、と判断。記事では。イラク戦争加担が世界での責任ある地位だとかでなく単にイラク「復興」後の利権に預かろうといふ、しかも自衛隊はその際の日本企業「自衛」のためにあり、とくに湾岸戦争で撤退余儀なくされた三菱グループの場合、軍需関連産業といふ背景あるも当然だが対イラク未回収債権がUS$4000億にも及びその回収のため小泉三世秘書飯島君や石破坊や、額賀二世といった防衛族をば三菱幹部が品川の開東閣で接待して、といふのも肯定ける話。「松下政経塾出身タカ派議員に気をつけろ」といふ記事も確かに自民党ぢゃなく民主党松下政経塾出身議員(塾出身の衆議院議員のうち自民7に対して民主党19名)こそ要注意という点で大切。何が問題かといへば「歴史認識や社会認識が浅く肝心な人間理解も浅井青侍のような」彼らは築地のH君も指摘した今さら丸山眞男先生の政治学をば新鮮だと思ってしまふ浅学に象徴されるが、たかだか茅ヶ崎の研修施設から三浦半島を100km行軍(って平坦なる道を歩くだけ)完歩して感動に咽びその程度の達成感で「やればできる」と国政までそれで勘違い、ってところか。お願いだから塾で勉強した程度で国政など担わないでくれと願ふばかり。午後に九龍に渡る地下鉄で急ぎ競馬予想。何といっても芝1000mの公開賽にて精英大師Silent Witness)の緒戦から不負の十連勝に期待かかり而も平磅126磅のハンディキャップなしでは精英大師に敵なし。かりに日本のクロフネ現役であれば強敵だったかも。当然のように今日も勝ち馬番通り好望角が二着、Fireboltが三着。余はまず2Rで22倍の香港製造を選び一番人気とQしてから3R以降を携帯より馬券購入せば今日の残高では途中で当然資金尽きるはずが最終レースまで馬券購入できて不思議に思い残高確認せば馬券購入以前より倍に増えており何かと思えば2Rで香港製造がまさかの一着。こういうこともあるが当然の如く3R以降は全く取れず。だが十分に儲けあり佳しとすべき。昼すぎ茘枝角の熱食中心にある成昌飯店にて西芹鶏柳飯食す。この熱食中心は長沙湾道と茘枝角道の交わるところで交通量も多く施設もお世辞にも清潔とはいへぬ環境ながらこの成昌飯店は付近の工事人夫など昼遅くも繁盛し僅かHK$20で(飲み物つき)美味なるぶっかけ飯供す。某事済ませ早晩にジムに立ち寄り尖沙咀の知る店に一飲。尖沙咀東の焼き鳥・五味鳥を数年ぶり参るが未だ開店前で近くの便利店にてハイネケン麦酒購い公園の猫と遊ぶ。五味鳥に参ればすでにZ嬢あり。菊正宗熱燗で四合。ホンハムの香港体育館にて羅大佑のコンサート。今回の昨日と今日の二日間のコンサートがまさか香港での初の本格的リサイタルとは露にも思わず。十五分遅れて会場に到着せば丁度八十年代末のヒット曲「愛人同志」で始まり二曲目が「恋曲1990」とヒット曲続けて長丁場大丈夫かと気を揉む必要もなくアニタ=ムイの追悼あり香港の躍動力を賞めサム=ホイの往年の名曲を観衆と歌い聞いていて涙出る大人の良心の世界。台湾で生れ中国医薬学院出て医者になるべきところ音楽への念捨てきれず研修医の頃に自主盤制作始めプロのシンガーソングライターになった羅大佑も今年五十歳。客層も当然四五十代多く八十年代には「香港の朝日新聞」明報読んでいたであろう、現在は信報の読者っぽい観衆多し。素晴らしい一夜。朝日といへば朝日新聞の香港衛星版が月料金HK$620からHK$520に一挙にHK$100値下げ。香港衛星版八周年記念といふが1ヶ月1万円といふ購読料を8千円にすることで購読拡大狙ふか。だが柄谷行人の著作集と同じで二千円安くても読まぬ者は読まず。余も朝僅か五分か十分目を通すかどうかと思えば値高感ないはずもなし。唯一の購読理由といへばインターネットでは評論記事ないことくらいかも。それにしても日本の新聞の不思議はなぜあの廿数頁の新聞をば毎日発行するだけのためにあれほどの巨大な組織と人員が要るのかといふこと。海外の特派員網とてそのコストと特ダネの量考えれば完ぺきにロス多し。香港だの欧米も含め新聞社の組織としての小ぶり具合とその内容の高さを真摯に学ぶべきではなかろうか。