富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農歴大徐夕三十大寒。

農歴大徐夕三十大寒。晴。朝起きれば気温摂氏八度。新界流浮山にては摂氏五度記録。天文台の有史以来三番目に低温の大除夕(大晦日)となりぬ。早朝に北角の埠にて歩道に書かれた「工字中線」といふ字あり(写真)。埠前の曾ての公共団地・北角邨、今では更地となり果てそれに接する歩道の文字、恐らく此処に近々始まる「再開発」に係る指示書き、それぢゃ「工事中線」か、いずれにせよ地面にスプレー書きしたにしては柔らかみある字体に立ち止まり暫し見入る。昨日までの市街の喧噪とは打って変わって花市周辺などを除けばかなりの閑かさ。恒生指数は折からの上昇気分に年末の祝儀的投機で値上がり続け結局羊年の一年で株価48%の上昇。株もいくらか有しファンドに財テクする身には嬉しくもかつて株で火傷した傷は未だ消えておらず。夕方に晦の歳事にと九龍にて風呂に浴す。今年もまた湯船に枸杞の枝が二、三條。按摩。帰宅して昨晩のモツ煮にてエビスビール一飲し「おでん」に菊正宗。佐々敦行の『香港領事動乱日記』読む。一瞬「香港領事=著者が起こした動乱か」と錯覚する書名だが、この人の場合、香港暴動にせよ記録的豪雨にせよ、大事態発生といいつつ何処か「待ってました」とばかりに楽しむといっては語弊もあろうがポジティブな躍起には違いあるまい。幸せなる御仁。ましてやまさか平成の世に廿一世紀に自らがマスコミから弔辞……(元へ)寵児の如く扱われるとは。数日分の新聞読む。深夜のニュースにてビクトリア公園の花市の盛況、午前零時でもって(実際には多少早いが)開門となった黄大仙廟の初詣での人混みなど映る。それにしても黄大仙廟の初詣、日本の賽銭投じてならまだいいが、線香の奉納目的にてしかも中には野球のバットほどの巨大な線香も少なからず、それを数本束ねて参拝するから始末に負えず。本殿の小さな線香立てにその線香立てむとする参拝客押しかけ煙に咽せ火傷負ふ騒ぎ。当然、線香立てはいくつもすぐに線香で一杯となり係員が押し寄せる参拝者の為にと数秒前に奉納された線香をば抱えて捨て線香が山のように浪費されてゆく光景。これで何のご利益あろうか。
▼一月十五日に紹介せしMonitor RecordなるかなりクセあるCD屋、音楽通のD嬢に三四日前に尋ねたところ曾て油麻地のEaton Hotel商城にあった店で其処が全面閉鎖され閉業したか何処に移転したか知らずにいた、とD嬢。言われてみれば確かにEaton Hotel階下にCD屋あり。この商城、十年以上前に台湾映画の紹介に熱心だった映画館普慶劇院だのもありよく足を運んだものの如何せん場所が悪く人出イマイチにて現在も閉鎖されたまま。
▼「井落」に駐在する日本軍、今日の蘋果日報に軍の写真あり一瞥して驚くは軍服から軍用ジープの車体まで左右上下どの角度から見ても「日本軍」と判るように「日の丸」の旗印あり。心情としては「日本だから狙うこと勿れ」なのか、だがあれぢゃ寧ろ目立ち狙われるばかり。夜のNHK「News10」にて「井落駐留二日目の今日も積極的な行動」と報道ありすわ丼八でも始まったのかと思いきや何のことはない駐留地の暫定行政当局までジープ四台で出向き暫定行政機構側との打合せ。駐留地を一歩出るだけでも「積極的」と称されるようでいったい何が出来るのか。その会合も目的は地元の長老名士と親しい関係になることで危険分子の介在など情報が比較的早く入ることで安全が確保できることを期待って、つまりは駐留部隊の安全確保のため。その長老らからは日本軍に何を期待するか?といふ質問に対して「失業問題を解決してほしい」と、つまりは日本に期待されているのは投資であり産業復興への参画といふこと。
▼Z嬢観た昼のNHK生活情報番組にて鳥インフルエンザの話題となりZ嬢唖然としたは番組で専門家気取り(どうせ素人)曰く「日本では鳥やタマゴは加工されて食料品店や肉屋で売られているから安全」なのに対して「香港は鶏が家のまわりに生きたままいるんです」と「それが危険」と宣ったそうで抗議でもあったのか番組の終りのほうで「香港では家のまわり、というのは近くのマーケットで生きたままの鶏が売られていることです」と訂正あり(笑)。家のまわりに生きた鶏がいることすら害悪の如し。加工されたブロイラーが安全なら世の中平和。あの香港の生きた鶏をば潰したて購い自宅に持ち帰り料理した美味さは食した者のみしかわからず。平和ボケ国家。