富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月十七日(土)疲労困憊にて朝餉済ましても尚昼前迄臥床。昼過銅鑼灣某書店にて日本語指導書探し。午後九龍某所。美孚の九龍モータア巴士の九巴精品店にて海底隧道走る102路線用に投入されし新型バスVolvo型の模型購ふ(写真)。九龍バスの模型精緻極上にて(写真)蒐集家垂涎の一品也。MTR東涌線経由にて中環。Z嬢と三聯書店にて待合せHollywood道の骨董家具家にて小さな駕籠手付済す。バスにて帰宅。胡麻タレで豚肉と野菜の鍋。湯に浸かり休刊迄あと二号の『噂の真相』読む。自衛隊イラク派遣のA級戦犯文化人の記事にて首相補佐官岡本行夫、元条約局長並びに駐米大使の中央大学教授・柳井俊二同志社大学助教授にて親米一本やり明治期の文化人気取りの髭と口調の村田晃嗣、石原ヨイショの京大教授・中西輝政ら「当然」の顔触れ、記事の「キナ臭い時に政治的な発言をし始める京都学派は曾てのその政治的な発言が軍隊を増長させた太平洋戦争の教訓から何も学んでないんじゃないか」といふ指摘は確か、それどころか『近代の超克』読み「半世紀以上前にこのような立派な思想があったのか」と感心しそうな輩ばかり。だがイラク派兵の最も罪深きA級戦犯は一見リベラル気取りの田原総一朗以外の誰でもあるまひ。自衛隊派兵に反対のようでいてイラクこのまま放置しては大混乱に陥るといふ「誤解」でそのおせっかいなる使命感が諸悪の根源、『噂真』グラビアにも「山タフ」山崎拓まで現るる田原のパーティの写真あり。中森明夫が八十年代に『宝島』に連載の「東京トンガリキッズ」が文庫本化とお知らせあり。八十七年だからにJICC出版より新刊で出版され持ってはいたが確かバンド「阿Q」の大坂鉄雄君にでも貸したままか。小田嶋隆氏曰く小田嶋氏自衛隊イラク派遣される隊員を憐れむ、と。それ彼らの任務に大儀なき故。大儀どころか法的根拠も曖昧にて自衛官にとって災難以外の何ものでも非ず。正式な軍隊としても振る舞えず文民としての保護も受けられず。丸腰の哀れ。「自衛隊といふ名称が行動範囲制限」といふ認識もあろうが小田嶋氏曰く「自分たちで自衛の範囲を逸脱してるだけ」で、結局、丸腰で最前線に行き見事に戦士して国際社会の同情集められれば大成功、小泉の狙いもそこにあり、と。『週刊読書人』読めば新書特集で富山房百科文庫の売行好調10点に『近代の超克』は当然としても薄田泣菫の『茶話』や「きだみのる」の『気違い部落周游紀行』があり茶話も余が一昨年入手の折已に在庫少々であった筈で再版された気配もなく果してこの富山房百科文庫の売行好調10点なるもの十年前のものそのままか?と。『気違い部落周游紀行』も実は未読であり紀伊国屋書店のサイトで調べると一連の「きだみのる」作品押し並べて廃刊、未読忸怩たる思い。だが「きだみのる」は山田吉彦であり『ファーブル昆虫記』の訳者として有名だがこの山田吉彦の『道徳を否む者』なる1955年の新潮文庫以前神保町にてもかなり探すが見つからずふと気になり国会図書館サイトで見れば蔵書あり次回国会図書館まで参り閲覧かと思えば此れ迄全く気づかずにいたが電子文庫パブリに二年も前に上掲されていたこと知り早速ダウンロード購入済ます。僅か三百円。ちなみにこの『道徳を歪む者』かの吉田健一先生曰く「きだ・みのる氏の一連の作品に見られる風刺や、教養の深さや、視野の広さがどこから来るかはこの『道徳を否む者』を読めば解るだろう。これは一人の現代の知識人が辿った遍歴の跡を語る、類例がない位美しい魂の告白である」。昨晩秋田系カナダ人のT君に頂いたSchenley OFCなるケベック州Valleyfieldのウヰスキー飲む。