富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月十四日(水)朝晩多少冷えるが昼はシャツ一枚で寒くないほどの暖かさ。外国人記者倶楽部にて急遽、アニタ梅艶芳の弔いに来港の、89年天安門事件の「首謀者」の一人で海外亡命し今は台湾に居を構えるウアルカイシ君の講演あり。その言論を突っ込めばそれぢゃ具体的に中国の民主化をばどう進めるのか?といふ問いに十分なる答えなどウ君の口から出ては来ぬのだが政治家の例え出すまでもなく漠然とした総論を多くの者の前で語るだけの技量あり(而も15年前の北京の一学生が見事な流暢なる英語でこうして記者を前に十分に政治について語るのだからそれだけでも大したもの)集客力があるだけでウ君の存在意義もありかも。早い晩にジムにて一時間ほど鍛錬。身体動かしつつも頭の中には終っておらぬ資料整理の件、ウ君の講演をばどう日刊ベリタに記事まとめるか、今晩の競馬の予想と三つの異なる案件が交錯し禁煙の禁断症状もありヘロヘロの頭脳。帰宅してチゲ鍋で韓国焼酎。競馬中継も斜めに見るが一つも当らず。日刊ベリタウアルカイシ講演の記事書く。ふと網上にて(こちら)「香港在住の埋もれた逸材として、富柏村氏(日本人)がいる。この人の才能は、本人のウェブサイトでご確認ください。」とあるのを見つける。才能といはれるほどのもの微塵もないが逸材といわれ普通なら悪い気もせぬだろうが「隠れた逸材」ならまだしも「埋もれた」といふ表現に本人かなり笑ふ。
▼昨晩読んだ荷風先生の日剰に、荷風先生夜な夜なふと曲輪行きをば思い立ち円タク拾い「仲までいくらで行くか?」と問えば運転手に「仲とは何処ですか?」と言われ「仲」なる言葉すら通じぬ世になったと感慨深げ。今でも余は東京に戻れば畏友と晩に会えば「それじゃ仲ででもちょっと」となるが……。平成でも通じるほうがヘンか。
▼朝日が記事はイマイチでも連載漫画がいかにも朝日らしさ。夕刊しりあがり寿の『地球防衛家のヒトビト』ボケたふりして日本の可笑しき様をば逆に嗤ふ姿勢鮮明にていしいひさいちの朝刊『ののちゃん』をば陵駕するほどなのだが『ののちゃん』本日の第2402話は冴えののちゃんの藤原先生の学級にて生徒が「自衛隊イラクへ攻めていくって本当ですか?」と質問し、この質問ぢたい政府文部省にしてみれば「自衛隊イラクへ参るのは国際貢献イラクの平和維持活動のためであり、このような一部の「偏向」した意見が生徒の口を通したようにして出されることが遺憾」であろうが、藤原先生は公立学校の、それもおそらく東京都下であろうが、黒板に「イラクと戦争をする」と書いて×をつけ、これなら「日本は戦争に行くんじゃありません」と子どもの、おそらく偏向した共産党員か過激派を親にもつ子どもだろうが、の偏向した考え方を是正し諭す「理想的な教師像」に合致しそうだが、藤原先生がそんなはずもなく「いいですか、ここが肝心なところです」と、「×イラクと戦争をする」の横に「イラクの戦争をする」と書いて○をつける。藤原先生が「わかりましたか」と言うと生徒たちが「ハーイ」と。このような理想的な教育が東京の何処で行われているだろうか。現実には藤原先生など即刻退職処分である。