富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月十五日(月)晴。晩に九龍で高座済ませ夜な夜な灣仔のホテルにて月本氏夫妻とN氏と再会。中環のFCCにて一飲。イラクにて広末涼子逮捕されたといふ誤解につき款談。DNA検査のためサッダム、フセイン君舌裡より細胞採取される姿映像にて世界中に呈わにされあれがもし広末嬢であったならば舌先デロリンもかなり好事家には萌えるお宝画像か、と。深夜に薮用あり銅鑼灣。Lockhart道の歓楽の盛様もたまに訪れると怖いほど。なぜこれほど迄に人は精力的に夜這いするのであろうか。薮用は某氏に或る仕事の片づけ頼まれ深夜にエクセルシオールホテルのカフェにてケーキなど購い、この姿など見られただけで鼻の下長くしたオヤジが深夜にフィリピンパブにでもお土産持参で御遊興か、といふところ、ケーキ携え歓楽街歩くだけでも恥ずかしく知人になど遇わぬこと祷るばかり、相手先訪れ話つけてケーキで手打ちして示談終了。我ながらトラブルバスターの如し。
▼サッダム、フセイン君の生捕りにつき四国の、未だお会いしたこともなき知友曰く、サッダム君が今回の「当該事件について正確に評価するのが難しいのはこの人物が十年以上昔の戦争でも主役だったから」であり「一九九一年の湾岸戦争の発端はイラク大統領サッダム・フセインによるクウェイト侵略」にあり「これは明確に犯罪であるから米合衆国大統領ジョージ・ブッシュ(大)によるイラクへの攻撃には正当性が確かにあったわけで」「従って仏共和国の文人フランソワ・ミッテラン大統領をはじめとする世界各国の指導者たちは米国を支持したが日本政府は莫大な戦費を負担したにもかかわらず「血を流す」ことがなかったため消極姿勢を貫いたと見られてしまい戦後にはイラクとともに敗戦国扱いを受けるに至った」のだが「他方、今回の戦争の場合、たとえサッダム・フセインが暴君であるにせよ前回とは違い外国侵略の悪事を働いたわけではなく従って米合衆国大統領ジョージ・ブッシュ(小)によるイラク侵略には正当性はない」のであり「むしろ今回は米合衆国側こそが前回のイラクの立場にあると云わざるを得」ず「今回の戦争に対して仏共和国大統領ジャック・シラクや露連邦大統領ウラディーミル・プーチンが当初は否定的だったのは当然」であり「だが日本政府は当初から戦争に積極姿勢を示し遂には軍隊に見えて軍隊ではない「自衛隊」のイラク派兵をも決めた」もので「正当性ある戦争にさえ消極的だった国民が正当性を欠く戦争には積極的に頑張るというのは何とも不可解な話」でありサッダム君は「十年以上昔の湾岸戦争において犯罪人だったのは間違いないが今の戦争においては悪人ではあっても犯罪人ではない」のであり「現時点において十年以上昔のことを正当化の根拠に持ち出している者はいないように見受ける」かぎり「今宵の逮捕にはやはり正当な理由がない」と指摘。御意。そのうえ氏の重要なる指摘は「ここで不図思うのは「私学の雄」早稲田大学エジプト学博士吉村作治教授」に及び「かの教授は前回の湾岸戦争に際しては各種報道番組や討論番組に盛んに出演してはイスラームの貧困の現状を説いてクウェイトに対する中東諸国の反感の指摘にまで及びサッダム・フセインを必死に弁護していた」が「博士によるイラク弁護の論は前回によりも今回にこそ妥当であり得た」はずであるのに吉村教授に限らず「十年以上昔に戦争反対を声高に唱えた「知識人」たちが今や声を上げようともしていないかに見えてしまうのは何故だろうか」と。「それがもし小泉安倍石破ネオコン政権の「国民的人気」に恐れをなしての沈黙であるなら日本国民は実に「血を見る」のを愛好する好戦的な人々に化したのであると了解するほかない」と。