富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月初五日(金)夕暮れにジムで鍛錬、更衣室のテレビモニタには歌手・梅艶芳(アニタ・ムイ)女史の姿映る。癌に罹ったとの伝聞のなか多くの親しき芸人らに囲まれ病名公開の記者会見の様子。悲しいかな一流の芸人なるもの病魔に冒されたとてその病弱の姿すら絵になり映えるは裕次郎、ひばりを彷彿、梅艶芳も憔れても愛しき。癌といへば香港は羅文を失ひ一年もたたず。羅文と並び梅艶芳の畏友たる張國榮の自殺からもまだ半年も過ぎず。行政長官董建華基本法23条の国家安全法の立法化を白紙撤回。市民の多くの合意得られず経済安定を優先課題と宣うがこのまま選挙戦に突入せば保守派の壊滅的打撃明らかにてその庇護が最も重大なること。新嘉坡より来港のI氏を囲み10名ほどにてI氏在港のおり常連の蘭桂坊の「店側はベトナム料理屋だと看板掲げる」屋外に張り出した店にて食す。この店の主人愛想はよさそうで目が笑っておらず接客の際だけ「シャチョー、シャチョー」などと連発する様も不快にて余は一切この主人と口をきかず。このかつては左翼酒場Club64あるくらいで蘭桂坊にてもうらぶれた栄華里も今では店多く各々の店の客引き凄まじく下品さ甚だし。「外で食す」の見た目勝負にて浅薄なるテーマパークの如し。Z嬢も遅れて現れI氏投宿のIsland Shangrila Hotelに移りロビー傍の酒場にて一飲。運動靴に半ズボンと軽装のI氏にZ嬢せめてと着替えを乞えばI氏スラックスにて酒場に戻られるがスリッパ履き(笑)、I氏のこの天性の才に靴のことは指摘せずのZ嬢の負け、I氏の勝ちと苦笑するばかり。