富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十九日(火)朝ホテル出でれば冷え冷えとした小雨模様。淀橋写真機店朝から店開け電脳売場にて旅客機の座席にて使へる電源アダプタの在庫在りやなしやと問へば店員そもそも旅客機にて電脳使用不可と申し此々然々にて近年は座席に電脳用の電気供給ありと説明いたせば店員何処かへ電話にでも確認して在庫なし、と。携帯電話のAuにて料金前払いの電話につき勉強。小田急ハルクの写真機之土井。電源アダプタは同じく、なし。ふと空港の売店で探すべきと合点す。電脳の日本語変換がためマイクロソフト社のIMEでは余りに頼りなくジャストシステムATOK-16のソフト贖ふ。南口まで歩きFlagsビルのOshman'sにて運動着、小物の類贖ふ。東京に運動具店多きなかOshman's何処か色気ある店にてエアロビなど業界関係者多し。ちなみにこのFlagsビルの場所こそ曾て臺北飯店、酒処日本晴のあった新宿のドヤ街最後まで残りし一角。Z嬢と其処で落ち合い昼飯時。このFlagsビルにて伊太利料理Kihachiにてパスタでもと提案せしがZ嬢「いわゆる支那ソバ」所望し南口より三越裏にある歓楽街に店構える「山田屋」にて昼から麦酒、餃子に半チャンラーメンといふ下品この上なき美味さ。ホテルに戻り急ぎ荷物拵へ新宿駅まで荷物押しつ参れば南口からホームへは昇降機も電梯もなし。新宿駅の場合もともと空港行き列車の発着など想定しておらずまだ致し方ないかと思へど成田空港に着き第一ターミナルにてホームが地下二階、出発ロビーが地上四階なる構造を見るにつけ、やはり何か発想に誤謬ありと感じざるを得ず。宅急便にて空港留めで送りし荷風全集など荷物三つ受領し登機手続きせば二人で荷物90kg(笑)、勉強して頂き10kgの超過料金払ふ。家電の売店にて確かに目当ての電源アダプタ見つけるがSharpには対応せず断念。Cathay Pacificの休憩室にて昨日の蘋果日報と南華早報読む。保安局長・葉劉淑儀十七日に米国は桑港に向け離港した由、あの不愉快なる尊顔に拝さずに済むは吉報なり。定刻より十五分も早く旅客の搭乗済む奇跡。ひとまず長旅も終り迎へZ嬢と三鞭酒にて乾杯、いつもの亜州精進菜を肴に黒松白鹿二合ほど飲む。機内映画にてケインコスギ氏主演の“Muscle Heat”と成龍の映画見るがやはりアクション映画に興趣なし。“Muscle Heat”は暴力だの麻薬だのの蔓延る近未来の不法都市東京が舞台、それから永井豪の一連の作品であるとか村上龍『コインロッカー』、大友克洋Akira”、映画では岩井作品『スワローテイル』のYen Cityなど彷彿するが現実の東京もそれに近づくのは事実か。多民族化が其処にあり、それで思い出すのは石原慎太郎の今月四日の朝だかの産経に掲載されし「日本よ!」にある支那朝鮮人への差別とそれに矛盾するかのような外国人受入れの発想の矛盾、真剣に考えると複雑であるが、結論として石原が支離滅裂である、といふことが結論か。香港に到着し入境手続き済ませば荷物は早やターンテーブルに周り荷物回収し荷車押して平坦を進めばすぐにAirport Expressのホームにて係員荷物車内に積込むを手伝い市街の站とて同様にタクシーまで。この便宜ぶり、何故に日本にて望めぬのか。車内とて静寂そのもの。日本での、あの「お忘れものにご注意ください」「次の駅での乗り換えは」といふお節介、「昨日までの大雨でダイヤが大幅に乱れ乗客の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます」などといふ過剰な善意、車内での携帯電話のご使用は他のお客様のご迷惑になりますので……といふより、その放送のほうがよっぽど迷惑。携帯よか間抜け面に化粧に熱心な女、酒臭いオジサンたち、足投げ出して坐る若者、オバサンたちの会話のうるささのほうがよっぽど迷惑なのだが……。香港に戻り日本の愚痴を言ふのは歇るべき、自省。旅客機の着陸から一時間余にて帰宅して坐って茶の一服もせぬまま90kgの荷物の片づけ夜半三更に至る。一旦綴った日記は消えHP作成のソフトは行方不明になり、と疫菌の災ひか電脳の調子悪し。