富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十六日(土)雨。盆の帰省の混雑もなき常磐自動車道で筑波の研究学園都市。時間潰しに覘いた医学部近くの古本屋に良書多し。白水社チボー家の人々』5巻は3,000円。鴎外全集欲しくも今回は見送らねばならず。I君と会ふ。筑波を走り一浴し夕方土浦市内に入り私塾営むM氏の許を予報もせぬまま突然を演じて訪れる。暫し歓談し日暮れに大雨のなかM氏に連れられ常総寺に4年前に亡くなりし同い年の畏友H君の墓参。H君の逝去より四年ずっと心に気がかり、漸く墓参となりH君にはこの遅き再会をただ詫びるばかり。中学の頃に出会い高校時代に土浦の花火大会、桜川土手にてビールとウイスキーに酔ひたる遠き昔を思い出すばかり。塾に戻り暫しM氏と語らい旧友と筑波の宿。
▼旧制水戸高校にてマルクス主義を講義し戦後の一時期まで学生と学術界に主体性論でかなり大きな影響与えた梅本克己、その学生であるとか丸山真男、安東仁兵衛、粕谷一希らの梅本克己に対する追悼の文章纏めた『回想梅本克己』(こぶし書房)を母が梅本夫人より頂いており数日寝床に臥せてからこれを読む。戦後、日共へ入党を公言しマルクス主義に基づく主体性の確立に挑んだ梅本氏が結局、革命への大きな流れと挫折の結果として毛沢東文化大革命に絶大なる期待を寄せ、その負なる結果を知らぬまま他界したこと。