富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十五日(木)曇。昨晩遅く『噂の真相』六月号読む。家族会事務局長そこのけそこのけ蓮池透氏に関する興味深き記事あり。家族会どころか今では発言は国防にまで及び外務省すらご意見伺、この蓮池氏東京電力社員にて現在は日本原燃に出向、プルトニウムの生産使用、核廃棄物再処理に絡むかなりのお仕事にて、これ政府のプルサーマル計画にも関わる。政府、プルトニウムの危険性明らかなれど政府これ原子力発電が為と維持推進するは同誌によれば将来の核武装がため、と。北朝鮮といふ仮想敵国の存在と、それに対峙しての有事想定、国防、で北朝鮮の核問題となるなか日本のプルトニウムの扱い……偶然にもその北朝鮮と日本のプルトニウムの接点に蓮池氏が存在する、といふ事実。同誌、マスコミにとって家族会、蓮池氏らの報道、タブー化せしことを指摘。夜遅く地下鉄に乗っているとかなり混在し喧騒甚だし。ここ二ヶ月近く地下鉄いつも閑散、マスクした乗客がじっとだんまり決め込み、じつに快適であったが、マスクとって鬱積した雑談欲が発散されているのか、こちらも耳が慣れていないからか、とにかく五月蠅い。
▼香港大の社会科学研による世論調査にて行政長官董建華君の支持率41.2%という数字、分析の結果、高学歴高収入の専業人士の支持かなり低く、逆に老人、低所得、低学歴層の支持はまだ半数近し、と。なるほどね。で、この低い支持率など受け昨日14日のSouth China Morning Postの社説、最近やたら董建華に辣しく、親中派である郭鶴年の資本でのこの論調は北京も董建華見放す信号かと憶測あるなか、この社説でも“A Leader honed in the art and skills of politics”と題して辛辣。要するに董建華は父親が築いた船財閥の後継者、その政治的背景なきことと米国留学などの欧米なれした姿勢が中英の過渡期の行政長官として最適とされ70.1%という高い支持率であったが、結局、周囲が御膳立てしてくれての人寄せ熊猫的な社長業はできても行政長官としての器でなく、しかも大きな政治的誤謬(注)少なからず、リーダーシップ期待は無理。官僚なり議員、実業界でもいいがもっと専門家活用し(董建華のように身内で固めず)、公共の場に身を置き、社会的キャンペーンを誘導し選挙を自らの支持率で戦ってゆけるような候補者が必要、ともうすっかり倒董の気分。
(注)ちなみに董建華の大きな錯誤といえば、まず星島日報社主であったSally Auに同紙の購売量水増し(それにより広告費上昇)で操作の手が及んだおり調査に圧力かけAuを捕り逃させた事件。大手デベロッパーの開発マンション売上げ伸びぬことに相して政府の増税公共団地制作を撤回、しかも2年前に遡り計画は中断されていたなる詭弁。香港大学世論調査への介入、みずからの悪い支持率公開することへの圧力。財務司長・梁錦松の増税案審議中の増税前新車購入での梁の加護などなど。
▼連日かなり興味津々と読む日経の春秋。今日は(こちら)「ヨーロッパの五月の味といえば白アスパラガス」と季節感あふれ、しかもあの新鮮な白いアスパラガスが土中よりあらわれる様を想像しつつ読み進めば、突然(というかそれを余もどこか期待しているのだが)「白」から白装束の団体へと急展開、常識では考えられぬ飛躍。筆者いったいどういうOSの方なのかかなり興味深し。この団体にも自制を求めつつ、代表が語るのは大天使ミカエルの声という説法を用いて「従来きれいごとに描かれた天使を翼のないリアルな姿にしたのはルネサンスミケランジェロだった」として「閉鎖的で謎だらけの集団にも理性の光を」で結んでしまった(爆)。すごい。すごすぎ。ルネサンスにこの過大評価、じつはミケランジェロはたんに天使を自分の憧れる美しい理想像に戻して描いただけなのだが、しかもそれから宗教団体を近代知を以て理性的に!だなんて……。だいたいそういう何でも法則で纏めてしまうみたいな近代知に飽きているから、わけのわかんない宗教に魅かれているのに。この「春秋」、マスコミ就職予備校だったら「奇を衒いすぎ」「話題の飛躍が著しい」「結論が陳腐」でB-の評価か、いやC+だ。
▼「まぁ人間ですから急に裁決のところでトイレが我慢できなくなったり、そういうこともありますからね。政治的な意図をもって退席することはないと思う」と民主党政調会長枝野幸男君、有事法案裁決の衆議院本会議での党内から造反者出る可能性問われてのコメントがこれ(日経)。呆れてもの言えず。まだ反対だけの社会党なり嘘でも政権担う自民党のほうがこの民主党よかよっぽどマシ。民主党が政権など奪回したら(まず有得ぬが)今よかよっぽどの惨事。それにしても自民党ですら岸信介から懸案の有事法案という時にその自民党に対抗もできず掏摸より「基本的人権の明記」などということで悦に入る無用政党、その有事法案の時にこのノーテンキなるトイレ我慢などといふ揶揄、常識外れ。しかも「政治的な意図をもって退席することはない」とは糞尿の大事はあっても政治的思考、判断など何もできぬということを宣言してるようなもの。民主党、せいぜい松下幸之助の著作読む程度で政治家志し丸山真男の思想すら新鮮に思える程度の輩にてはこの程度か。それにしても有事法案での野党第一党のコメントだと思うと呆れるばかり。最低の低。
▼スイスはローザンヌにある著名なる国際管理学院IMDによる国際競争力調査によれば国家のビジネス競争力、人口2000万以上の大規模国家では筆頭は米国、それを100とした場合指数にて豪州86.5、カナダ84.1、マレーシア72.9、ドイツ69.8、台湾、英国、フランス、スペイン、タイ王国と続き我が国はタイに続き11位の56.3、次が中国の50.8という結果。ちなみに人口2000万人以下の小規模国(地域)は筆頭がフィンランドシンガポール98.2、デンマーク92.4、香港90.3、スイス89.7と続く。本日のSouth China Morning Post、蘋果日報にも精緻に報道されるが日経、朝日あっただろうか。台湾、マレーシア、タイなどインフラ整備され、だいいちビジネス、産業において英語が通じることの重要性。日本は何処へ。北朝鮮など対象にした軍事的な有事法制の整備などより国際競争に負ける国家的危機=有事への対策のほうがよっぽどの急務。それも理解できぬ現実。首相も野党党首と有事法制折衝する暇あらば英語でも勉強したほうがマシ。
▼昨日香港政府立法議会にて野党諸派より行政長官董建華君不信任案動議あり政府官僚による董擁護の演説続き保皇党(つまり自由党、民建聯などの保守派)当然のことながら不信任に反対、賛成19票に対して反対35票にて否決さるる。だが反対35票のうち24票は職能別選出(つまり各業界=利益団体代表)にて地方区選出(つまり民意反映)の議員19名のうち14名不信任に賛成。どれだけ民意が董建華嫌うかの証し。政務司司長ドナルド曾君ら董建華の97年以降の「徳政」、一国二制度の成功評価するが冗談甚だし。一国二制度司法権など蹂躙ひどく法規遵守せぬ董建華の愚政明らか。政府の3司10局の長、首揃えて參列し董建華擁護にまわる中、唯一欠席せしは良識に定評ありし環境運輸及工務局長寥秀華女史にて、偶然の欠席か或いは良心ゆえか。
▼新界は元朗の田舎村の村民の訴へにより政府、辺境の10村にありし不法移民の住處一網打尽、68名一斉検挙。彼ら生活厳しきこと甚だしく「男当黒工女売肉」つまり男は不法の日雇い人夫、女は淫賣をば生業とし、山あいの廃屋となれし養豚場に住み「猪場淫窟」の体、この淫賣窟訪れし客ら、この辺境の村にて村民の女捕まえては娼婦と勘違いし春事の値段尋ねる有様。住處の環境劣悪、男は晩に日雇仕事より戻れば大陸の同じ村より共に香港へと密入せし女ども夜毎淫賣とは余りにも辛き香港暮らしなり。